マッカーサーの腹心で民政局長のホイットニーと次長のケーディス。対する吉田茂外相に補佐役の白洲次郎。 迫真のやり取りを、議事録から再現した。新憲法の手に汗握る舞台裏が明かされる。 ポツダム宣言やGHQのメモランダムなど、文書をすべて英語で読み通す。言い回しのニュアンスや関係者の力関係までみえてくる。著者の青木氏は日本企業で、対外交渉の場数を踏んだプロ。学者や憲法の専門家の及ばない新鮮なアプローチだ。 ソ連などが発言権をもつ極東委員会の介入が迫り、時間のないマッカーサー司令部。急いで英文の憲法草案をまとめ、日本側につきつけた。天皇の訴追を避けられると踏んだ日本側は、これを受諾。でも天皇の主導する旧憲法改正の手続きを踏んでくれと押し返す。現憲法が今のように落ちついた経緯がよくわかる。当の英文草案全文が巻末の資料に付いていて嬉(うれ)しい。 日本国憲法は、一週間でまとめた英文案を、日本語にしただけ