北海道ではエゾシカ猟が盛んに行われています。以前は、射止められたシカは猟場で解体され、被弾部や内臓など獲物の一部がそのまま山野に放置されることがありました。これらに残った鉛ライフル弾の破片などを猛禽類が肉とともに食べることで、重篤な鉛中毒が引き起こされます。鉛中毒に陥った猛禽類は、激しい貧血と神経症状による運動機能の低下が見られ、やがて衰弱し死亡してしまいます。北海道では、1996年に初めてオオワシが鉛中毒と診断され、これまでに200羽近くのオオワシやオジロワシが、鉛中毒で命を落としています。これらの多くは、釣り人や登山者などによって偶然発見され、特別な検査によって鉛中毒と診断された数です。ワシ類の大部分は厳冬期に渡来し、雪深い山中など人目に付きにくい場所で鉛中毒死することが多いため、確認されている被害個体は氷山の一角に過ぎません。