■はじめに法学部で刑法の講義をする中で、文書偽造罪は特に説明の難しいテーマです。いろいろと例をあげて説明するのですが、ここでは領収書を例に、文書偽造罪とはどのような犯罪なのかを説明したいと思います。 なお、私は以前、YAHOO!ニュース個人に文書偽造罪に関する記事を書いていますが、これも参照していただければと思います。 ■領収書の中身はどうなっているか〈文書〉は、誰か特定の人の意志を表示したものです。したがって、文書の構成部分としては、(1)誰かの意志を表した部分と、(2)誰がそれを表示したのか(表示内容について誰が責任を負うのか)を示す部分からできています。この〈表示内容について責任を負う人〉のことを〈名義人〉とか〈作成名義人〉と呼んでいます。 つまり、文書は、名義人が自分の意志を表示したもので、誰かが後でその内容について名義人にその責任を追求できる証拠となるものだといえます。 たとえば