「東電は税金投入を当然だと思っているのか」。5月大型連休のさなか、関係閣僚会議で不快感をあらわにしたのは枝野幸男官房長官だった。官僚中心の事務局ではなく、政治家の出番だ――。枝野長官を動かしたのは1998年、「政策新人類」として名をあげた金融国会の記憶だった。 官僚を通さない「政治主導」、公的資金を投入するにあたっては金融機関を破綻させる。当時の情景が脳裏をよぎったのか、枝野長官は海江田万里経済産業相に「賠償を理由とした電気料金の引き上げは認めない」ことを基本に、数兆円規模のリストラで交渉するよう要請。経産相は5月7日から直接、東電との交渉に入った。 連日、数時間にわたった閣僚会議でも、枝野長官の舌鋒(ぜっぽう)は鋭かった。特に対立したのは通産相を経験し、原子力政策を推進してきた与謝野馨経済財政相だ。 8日、与謝野氏が「東電にもパンツ一枚は残すべきだ」と迫ると、枝野長官は「ミンクのコートを