「自宅で最後まで過ごしたい・過ごさせたい」。本人も家族もそう考えていたとしても、在宅療養では数々の予期せぬ問題が起こります。とくに終末期の医療対応については、本人、家族、医療者の間に認識のズレが生じることが少なくありません。特異なケースですが、今年1月、埼玉県ふじみ野市で訪問診療医が遺族に殺害された事件では、報道によると高齢の患者への医療ケアをめぐり、家族と医師の間で意見の食い違いもあったと伝えられます。前回紹介した、私の友人の未希さん(仮名)は、末期の肝臓がんと診断された91歳のお父さんを「自宅でみとりたい」と、訪問診療医に来てもらうことにしました。しかし、それから1カ月後に医師は「辞退」を申し出ます。今回は、その医師からも話を聞きました。