中国政府は,6社あった通信事業者を中国移動,中国聯通,中国電信の3社に再編し,再編後に3Gの免許を割り当てた。3社のサービス内容や財務指標を見ると,競争政策のバランスが取られていることが分かる(表1)。特に今後成長が見込まれる携帯電話部門で,独り勝ちになりにくい工夫が見られる。 再編で絶妙なバランスを形成 まず,携帯電話で圧倒的な地位にいる中国移動にTD-SCDMAをライセンスしたことで,3G市場での独占に足かせをはめた。TD-SCDMAを採用しているのは中国だけなので,国外の既存端末を持ち込めない。中国政府は中国企業にTD-SCDMA端末を作らせているが,中国国外の製品と比較すると機能やデザインで見劣りする。TD-SCDMAは技術的に発展段階にあり,品質が良いネットワークを構築するには時間と資金を投入する必要がある。さらに,中国移動は固定電話とブロードバンドの基盤がぜい弱なために,携帯と