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ブックマーク / kisanjin.blog.fc2.com (53)

  • 珈琲のフシン

    オオヤミノルさんが『美味しいコーヒーって何だ?』(マガジンハウス:刊 2013)に続いて、またコーヒーを出したよね。『珈琲の建設』(誠光社:刊 2017)ってやつ。このでオオヤさんはまたコーヒーを「殺す飲み物」って呼んでいるんだけど、そう言われるたびに不審に思って受け入れられないんだよね、やめたほうがいいよって。どうかすると、コーヒーじゃなくてオオヤさんの方を殺したくなるんだよね。いや、これは発言する者を挑発し、苛立たせる、堂々巡りの「反=反=珈琲入門」として語るんだけどね。 第一考 ── コーヒー屋の一人称の変遷について 『珈琲の建設』のあとがきで堀部篤史さんが《オオヤさんの話はわかりにくくて面倒くさいという人は少なくない》(p.94)って言っているけど、確かにわかりにくいんだよね。例えば、オオヤさんの一人称が「オレ」だったり「俺」だったり「僕」だったり「ぼく」だったりする。こういう

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  • 空疎と傲慢。そして、憂情。

    ウルトラマンに穴があるのだとすれば、それは空疎な覗き穴か節穴、あるいは傲慢な抜け穴か落とし穴である。ウルトラマンに穴がないのだとすれば、それは憂情である。 《むろん、『ウルトラマン』がトリック映像の集積であり、怪獣もぬいぐるみで戦闘機もおもちゃの模型だということは、子供の眼にも明らかである。『ウルトラマン』の科学的世界は種も仕掛けもある手品であることを自ら暴露しており、いわばあちこちに「穴」があいているのだが、その不完全な嘘がときにかえって愛らしい魅力になるという、いささか複雑な感情移入の様式を作り出していた。(略) 『ウルトラマン』の視聴者は科学の夢にひたりながら、トリックをトリックと知りつつ楽しむことができる。そのうちの最大のトリックは他ならぬウルトラマン自身だろう。(略) ウルトラマンにはまさに「得体の知れない」穴があいており、そのイメージの来歴についても理にかなった説明を拒絶すると

    空疎と傲慢。そして、憂情。
  • 偽書HCR 前篇

    『ホーム・カフェイン・レイディング お家ではじめるクソ焙煎珈琲』(散智社ドメスティック:刊 2022)は、冬山茶色(ふゆやま ちゃいろ)による新刊である。その想いを著者に訊いた(すべて敬称略)。 ──を書いたのは、『ホーム・コーヒー・ロースティング お家ではじめる自家焙煎珈琲』(嶋中労・旦部幸博:著 集英社インターナショナル:刊 2021/以下『HCR 元』)がきっかけだそうですね。 きっかけも何も、もう完全パクリのニセモノ(偽物・似せ物)ですよ。『HCR 元』には好いところもあるけれど、こりゃダメだなと思うところもあって。補完するつもりで『ホーム・カフェイン・レイディング お家ではじめるクソ焙煎珈琲』(以下『HCR 偽』)を書きました、クソだなって怒りながらね。 ──『HCR 元』のどこがダメで怒れたんですか? 真っ先には蕎麦屋「翁」の高橋邦弘の件ですね、《いまは山梨の長坂に店を移し

    偽書HCR 前篇
  • 外連味がない

    ぶたやまかあさん(こと やまもとしま氏 @Butayama3)は、2017年11月18日の「#ぶたんべ珈琲」集会で私が会った時には、まだ「やり過ごしごはん研究家」ではなかった。ぶたやまかあさんが《今日からは「やり過ごしごはん研究家」です》と自らTwitterで名乗ったのは、2018年5月20日のことである。実は、この後に《やっぱり「やり過ごしメシ」にするわ》とか《「やり過ごしメシ」か「やり過ごしごはん」まだ迷ってます》とか呟いていたが、翌21日(初名乗りから26時間後)に《「やり過ごしごはん」でいくわ!》と決まった。それから丸3年を経て、『ぶたやまかあさんのやり過ごしごはん 毎日のごはん作りがすーっと楽になる』(やまもとしま:著 金沢詩乃:イラスト 講談社:刊 2021)が発売された。そして、この「やり過ごしごはん」の新刊を恵送いただいた私としては、読み過ごすわけにはいかないので、言い過ご

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  • コーヒーで読み解くSDGsウォッシュ

    コーヒーサロン」(東京大学 東洋文化研究所 池研究室)を覗くのは久しぶりだ。第52回の「2019コーヒー危機とSDGs」をJICA中部(国際協力機構中部国際センター)で聴講してから607日を経て、2021年3月13日にオンライン開催された「コーヒーサロン」の第54回「コーヒーで読み解くSDGs」をWebで視聴した。司会の尾山優子氏が《こんなことを訊いてみたいなと思った時いつでもお寄せください》と言うので、視聴をYouTubeからZoomへ移った私は以下の質問を投げた。 《私がSDGsに関して最も感銘を受けたのは、国際連合大学学長であり国際連合事務次長でもあるデイビッド・マローンの「SDGsが今後15年間にやるべきことをすべてまとめたものだという考えは間違いです。SDGsは、2015年に私たちが考えていることを示したものにすぎません」という言葉です。しかし、SDGsに関する実際の喧伝を見

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  • コーヒー・ディスタンクシオン

    コーヒーにおいて‘ディスタンクシオン’を考えるとき、それは‘差異’なのか、それとも‘卓越化’なのか? テレビ番組「100分 de 名著」(NHK Eテレ/プロデューサー:秋満吉彦/司会:伊集院光・安部みちこ)、12月はピエール・ブルデュー(Pierre Bourdieu:1930-2002)が著した「ディスタンクシオン」(原書 “La distinction : Critique sociale du jugement” 1979)。講師(指南役)の岸政彦が著したテキスト(NHK出版:刊)を読みながら、また番組を観ながら、‘ハビトゥス’ (habitus) や‘界’(champ)や‘文化’(capital culturel)という概念を知り、またそこからコーヒーについて考えてみるとなかなか面白い。 《芸術作品との出会いというのは、普通人々がそこに見たがるようなあの稲の一撃といった側面

    コーヒー・ディスタンクシオン
  • 時間線がいっぱい

    《重力と量子力学を統一しようとするときには、“虚時間”の考えを導入しなければならなかった。虚時間は空間の方向と区別できない。空間では、北に進むこともできれば、回れ右をして南に向かうこともできる。これと同じく、虚時間は前向きに進むこともできれば、回れ右をして後向きに進むこともできる。これは虚時間の前向きと後向きの方向の間には、重大な差異がないことを意味する。一方、“実時間”をながめると、前向きと後向きの方向の間には、だれでも知っているように非常に大きな違いがある。過去と未来のこの違いはどこから生じたのだろうか? われわれは過去を覚えているのに、なぜ未来を思い出せないのだろうか?》 (スティーヴン・W・ホーキング 『ホーキング、宇宙を語る ビッグバンからブラックホールまで』 林一:訳 早川書房:刊 1989/原書“A Brief History of Time: From the Big Ba

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  • そうだ 京都、嗜好。 6

    「嗜好品文化研究会」が京都で開く催事「嗜好品文化フォーラム」へ6年連続で行ってみ…えっ? 今年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の騒動により、インターネットでオンライン開催(第1部は前撮りの録画を、第2部はライブ中継を、YouTubeで配信)かぁ…それならば自宅でコーヒーとタバコを喫しながら視聴しよう。第2部は都ホテル京都八条の陽明殿が会場のようだし、そうだ!京都、嗜好。 2020年9月20日 「第18回 嗜好品文化フォーラム」 午前の部(第1部)である嗜好品文化研究会の助成研究口頭発表を録画で視聴。「〈タバコとロック〉の民主性 インドネシアの音楽産業における華人と軍の役割に着目して」(金悠進)、「中国・内モンゴル自治区の草原における乳茶と市販牛乳」(呉人花)、「ミクロネシア連邦ポンペイ島においてシャカウが果たす役割」(酒井萌乃)、「1920年代大阪と東京のカフェーの女給 -給

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  • コーヒー・レプリカント - 帰山人の珈琲漫考

    スラヴォイ・ジジェク(Slavoj Žižek)は、2011年の「ウォール街を占拠せよ」(Occupy Wall Street)で、これを支持する演説をした。ジジェクお得意(?)の表現、「カフェイン抜きのコーヒー」も登場する。 《覚えておいてください。問題は腐敗でも貪欲でもありません。腐敗へと駆り立てる体制が問題なのです。敵だけに注意するのでなく、既にこの抗議運動を薄めようと画策している偽の友にも注意してください。あなたが、カフェイン抜きのコーヒーを、アルコール抜きのビールを、脂肪抜きのアイスクリームを渡されるのと同様なやり口で、彼らはこれを無害で道徳的な抗議運動に変えようとするでしょう。カフェイン抜きの抗議です。私たちがここにいる理由は、私たちがこの世界にうんざりしているからなのです。数ドルをチャリティに寄付することで、コーラの缶をリサイクルすることで、もしくは、スターバックスのカプチー

    コーヒー・レプリカント - 帰山人の珈琲漫考
  • もっとバカ?

    休日の昼下がり、3杯目のコーヒーを喫しながら買い置いてある雑誌のページを捲る。『BRUTUS』(ブルータス)No.909(2020年2月15日号/マガジンハウス:刊)の特集「ブレンドとモーニングコーヒー もっとおいしいコーヒーの教科書」を読んで唸る。曰く、《サードウェーブの次は、ノーウェーブ? コーヒーはブームでは語れません》(p.20)、《ブームの背景を紐解きつつ、今、飲むべき一杯を紹介しよう》(p.68)…ブームでは語れないのにブームの背景を紐解く? 全く意味がわからない。ブルータス、おまえバカ? もっとバカ? 《コーヒーはより自由になった。サードウェーブの浅煎りの衝撃から、揺り戻しのように深煎りを見直す焙煎家もいる。単一農園のシングルオリジン至上主義から脱却して、ブレンドで味を構築する焙煎家も増えている。そして、タイや台湾などアジアの若手生産者たちは、新しい地平を拓きつつあり、世界中

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  • 世界一おいしいコーヒーの淹れ方

    世界一おいしいコーヒーを淹れるには、どうすればよいのか? たとえば、2014年の‘World Barista Championship’で優勝した井崎英典氏が著した『ワールド・バリスタ・チャンピオンが教える 世界一美味しいコーヒーの淹れ方』(ダイヤモンド社:刊)というを読んで淹れればよいのか? それとも、2016年の‘World Brewers Cup’で優勝した粕谷哲氏が監修した「V60ドリッパー・粕谷モデル」(HARIO)を使って4:6メソッドで淹れればよいのか? ないしは、2019年の‘World Brewers Cup’で優勝した杜嘉宁(ドゥ・ジャーニン)氏が使用している「ORIGAMI(オリガミ)」ドリッパー(光洋陶器)で淹れればよいのか? あるいは、2013年の‘World Coffee Roasting Championship’で優勝した後藤直紀氏が監修したプロファイルを

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  • 子ども珈琲電話相談 4

    「夏休み子ども珈琲電話相談」は、小中学生のみなさんの珈琲に対する疑問や興味にこたえる番組です。りっぱな(?)質問でなくてもかまいません。ふと、頭に浮かんだ謎、素朴な質問でも大丈夫です。ぜひ、夏休み中のお子さんとご一緒にお楽しみください。 【難敵】 「お名前と学年を教えてください」 「切多(きれた)呉馬(くれま)です。小学4年生です」 「呉馬くんの質問はどういうことかな」 「えっと、すごく値段が高いコーヒーはなぜ酸っぱいのですか?」 「はい。呉馬くんはとっても値段が高いコーヒーを飲んだことがあるのかな」 「カップオブエクセレンスなどを売りにしているお店ではほとんど飲みません。でも僕はスペシャルティグレードの生豆であっても自分で焙煎して、その豆の状態や特徴に合わせて焙煎の度合いを深めにして家で飲んでいます」 「すごいですね。では、田渕先生に訊きますね」 「田渕です。とっても値段が高いコーヒー

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  • モーレなコーヒー本

    Reaktion Books(レアクツィオン ブックス)は1985年に設立されたイギリスの独立系出版社で、当初はアートやデザインのを出版していたが、その後に動植物関連や自然史・社会史などにも分野を拡げた。同社の‘Edible’(の)シリーズは、アメリカ物史研究家アンドルー・F・スミス(Andrew F. Smith)をシリーズ編集者として2008年に刊行が始まり、2010年度のアンドレ・シモン(André Simon)賞の特別賞を受けた。このシリーズにコーヒーを対象とする“Coffee: A Global History”が加わったのは2018年12月、著者ジョナサン・モリス(Jonathan Morris)はイタリアのコーヒー飲用史を専門とする歴史学者で、ハートフォードシャー大学の教授にして英王立歴史学会(Royal Historical Society)の副会長である。そして、

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  • 法則の抽出

    【はじめに】 『コーヒー抽出の法則』(田口護・山田康一:著/NHK出版:刊)というコーヒーが出た(2019年2月20日発行)。《こので伝えることは、すべての抽出のベースとなる技術と、味をコントロールするための法則の基である》(p.4)という…それでは、『コーヒー抽出の法則』を抽出してみよう。 【序章 抽出の前に】 『コーヒー抽出の法則』は、「café Bach」(カフェ・バッハ)とバッハグループを率いる田口護氏がNHK出版を版元とした2冊目の共著である。1冊目は旦部幸博氏とタッグを組んだ『コーヒー おいしさの方程式』(2014)であり、取材と文は嶋中労氏が担当した。今般の2冊目の共著者はカフェ・バッハ内の山田康一氏であり、取材と文は太田美由紀氏が担当した。この『コーヒー抽出の法則』にも旦部幸博氏が‘科学監修’として参じてはいるが、実践の技術者と理論の科学者が‘嶋中節(ぶし)’に乗っ

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  • コーヒー入試の問題

    崖っぷちの中学校の入試にコーヒーの問題が出されていたので、不合格になるのは覚悟したうえで挑んでみた。 問1 焙煎は回転式穴あきドラムを使って行うことがあります。このとき、豆はドラム内に入れ、下部のヒーターで加熱します。金網とコンロを用いる場合に比べて、コーヒー豆の仕上がりにどのような利点があるか答えなさい。 答1 コーヒー豆の仕上がりに利点はありません。焙煎する人の手をはじめとする身体の疲労が少なくなる利点があります。コーヒー豆の仕上がりに利点はありません。 問2 焙煎の度合いに応じて、コーヒーの苦味、酸味はどのように変化すると考えられますか。 答2 コーヒーの味は焙煎では決まりません。コーヒーはフルーツです。だからフルーツにある来の良質な酸味は焙煎で失われてしまいます。コーヒーは生のままにして焙煎しない方が好いのです。変化もなにも苦味があるコーヒーはダメです。 問3 コーヒー豆は粉にす

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  • マトモじゃない

    世の中のコーヒー話には、「スペシャルではない?」もあれば、「おかしいだろ、これ。」もあれば、「かすかに渋い」もある。だから、「マトモじゃない」コーヒー話も当然にある。 《Atomoは、コーヒー豆から作られた物のコーヒーの成分を解析し、分子レベルでコーヒーの味を再現した豆なしコーヒー「Atomo Molecular Coffee」を開発した。AtomoのCEOのアンディ・クライシュ氏は品科学者のジャレット・ストップフォース氏と共にこのプロジェクトを創設した。(略) さらに、はじめは淹れられた液体のコーヒーの再現を目指していた彼らだが、続いて焙煎コーヒー粉の製造にも着手。物のような質感を作りあげるため、メロンの種や、ヒマワリの種のカラなどさまざまな原料で実験を重ね、ついに、見た目も味も物そっくり、実際にドリップマシンを使って淹れることのできる焙煎コーヒー粉を、コーヒー豆を使わずに完成さ

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  • 歴史は騙られていく 2

    【ありふれた「喫茶店」の風景】 行きつけにしている喫茶店の扉をカランカランと鳴らしてカウンター席に腰掛け、新聞から目を上げないまま「ホット」とコーヒーを注文する。マスターが自然な所作で、淹(た)ておいてあるコーヒーを雪平鍋で温めてからカップに移すとき、鍋肌でシュゴシュゴと沸騰した液体が焦げた臭いを発する。そんな、決して珍しくはなかった、ありふれた「喫茶店」の風景。しかし、これが世界に類を見ない日独自の文化であるか否かを論ずるよりも前に、喫茶店でのコーヒーの飲用杯数が場所別の割合で4%にも満たない(1983年当時は13%弱だった)ことを、あなたはご存知だろうか? おいしさを追求するスタイルのコーヒー店が世界中で広まったのは、ここ数十年のことにすぎない。そして、その発祥の地と言えるのが1970年代の日だった。だが、その頃でも職人技を磨いた「珈琲屋」のマスターのコーヒーは、決して「ありふれた

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  • 帰山人の珈琲漫考 

    1983年、ハワード・シュルツはイタリアのミラノへの出張の合間にバールのエスプレッソやカフェラテを初めて味わい、《アメリカの人たちは、カフェラッテのことを知らないのだ。これをアメリカに伝えるのは私の使命だ》(『スターバックス成功物語』 ドリー・ジョーンズ・ヤング:著 小幡照雄・大川修二:訳 日経BP社:刊 1998)と思ってしまった。それから35年後の2018年9月7日、スターバックスコーヒーはイタリアへ上陸した。ミラノのコルドゥシオ広場沿いにある元郵便局ビル内に店舗を構築中、ハワード・シュルツは「私の夢が現実になる」(Il mio sogno si sta avverando)と看板を掲げた。親交か、侵攻か? 反発されるか、受容されるか? …巷間では、高級形態の「スターバックス リザーブ ロースタリー」が(シアトルと上海に次いで)イタリアでの1号店としてオープンしたことを騒ぎたてるが、問

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  • 缶コーヒーでザマミロ

    これまでも最速や最大について触れたきたように、コーヒーに関するギネス世界記録は数多くある。しかし、これが缶コーヒーに限られると、アサヒ飲料が2012年2月28日に達成した「24時間での1つの製品に対しての最も多くのテレビコマーシャル」(Most TV commercials for the same product [24 hrs] - national/Free-to-air)くらいのものだった。これは、「AKB48」所属の研究生を含む全メンバー90名が各個に登場する「ワンダ モーニングショット」TVCM「メッセージ」編15秒90タイプを一日でオンエア(関東・東海・関西地区限定)したもので、缶コーヒーの世界記録としては「みんなに元気を!」与えるほどのものではなかった。だが今年ついに、缶コーヒーに関する新たなギネス世界記録が認定された。 「販売期間49年のロングセラー製品として世界No.1

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  • 料理人に至高なし

    料理の《味に「究極」などというのは、実はあり得ない》と、辻󠄀静雄は言っていた(『料理に「究極」なし』 文藝春秋:刊 1994)。《「究極の事」(パーフェクト・ミール)という考えそのものがばかげている》と、アンソニー・ボーデインも言っていた(『世界をいつくせ! キッチン・コンフィデンシャル・ワールド・エディション』 野中邦子:訳 新潮社:刊 2003)。だが、私の記憶が確かならば、料理の世界には‘法王’とか‘神様’とか呼ばれる料理人がいた。では、彼らは「究極」の存在なのか? はて、料理人に「至高」はあるのか? ポール・ボキューズ(Paul Bocuse)は、畔柳潤より285日早い1926年2月11日に生まれて、アーシュラ・K・ル=グウィンより2日早い2018年1月20日に死んだ。 《ポール・ボキューズを紹介するとなると、非常にスケールの大きな人間の姿を描くことになる。フェルナン・ポワン

    料理人に至高なし