逆旅出版(げきりょしゅっぱん)の中馬さりの(ちゅうまんさりの)です。 「逆旅」というのは「宿」を意味する古語。 旅人にとっての宿のように人生の分岐点や目的地になり得る本を作っていきたい――という思いを込めて2022年4月に創業しました。 といいつつも、2年経った今ようやく「逆旅らしさ」を考える余裕ができたぐらいで、全くの未経験者が始めたひとり出版社。 創業時は、 ・どんなスケジュールで本を作っていくのか ・どこで印刷してもらうのか ・どこに卸してもらうのか ・倉庫は借りるのか、借りるとしたらどこに依頼するのか などなど「出版社を始めるなら知っていて当然の知識・揃っていて当然の常識」が何一つなく、とにかく周りの人の力を借りて、手探りでやってきました。 試行錯誤の1つとしてあげられるのが、「クラウドファンディングによる出版のイベント化」です。 創業前、私が主軸にしていたのはWebライティングや
ライブラリーカフェ:百年前の人々が本を手にするまで<報告> 関西館アジア情報課・向井紀子(むかいのりこ) 2024年3月15日に、国立国会図書館(NDL)関西館で、令和5年度関西館ライブラリーカフェ「百年前の人々が本を手にするまで-近代奈良の書物文化環境をたどる」を開催した。関西館では、2020年度から「関西館ライブラリーカフェ」を開催している(E2509 参照)が、初めてオンラインではなく、会場に12人の参加者を迎えて実施することができた。本稿ではこの概要を報告する。 ●企画意図 「関西館ライブラリーカフェ」は、「次に開く一冊に出会う」をコンセプトに、専門家による話題提供、関西館の関連資料の紹介、参加者を交えた懇談を組み合わせた催しである。 今回は、磯部敦氏(奈良女子大学研究院人文科学系教授)を専門家として迎え、近代奈良の出版史・出版事情を主題にした。 書物は、印刷、製本等の関係業者の手
島根県立図書館での県内戦争体験記録データベース構築講座 島根大学法文学部・板垣貴志(いたがきたかし) 2018年8月、筆者は島根県内の有志と県内の戦争・銃後体験記録収集事業を立ち上げ、2021年5月からは、島根県教育庁社会教育課と調整しつつ島根県立図書館で「島根県内戦争体験記録データベース構築講座」を行っている。本稿では、この月例講座についての取り組みを紹介する。 ●「島根県内戦争体験記録データベース構築講座」の概要 この講座は、市民や学生の参加者を募り、毎月第1日曜日の午前中に開催している。平均しておおよそ15人程度の参加者は、県立図書館に収蔵されている体験手記を1冊ずつ丹念に読み込み、内容に関わるキーワードを複数抽出してExcelシートに入力する。講座の最後に、全員で意見交換をする時間を設けて、その日に担当した手記を紹介しつつ感想を述べ合い認識を深めている。 島根県でも従軍兵士のみなら
■この記事を読んで欲しい方 他館の仲間は欲しいけれど、いきなり勉強会に出たり、有志グループに入ったりするのはハードルが高いと感じる方 いわゆる「非正規雇用」のため、イベントには参加しづらいと思っている方 知り合いもいる気軽な場であれば、他館の図書館員と情報交換してみたい方 義務や負担がなければ、他館の人と交流してみてもいいかな、と思っている方 大勢いる場には気遅れしてしまって、出にくい方 交流会に行ってみたい気もするけれど、参加費が負担で見合わせてしまったり、お酒が苦手で避けてしまったりする方 来月、県下の図書館員を対象にした大きな研修があり、講師を務めます。 そこでお伝えする重要なメッセージの一つに、「他館の図書館員とつながり学び合おうという」というものがあります。 …が、この「他館の図書館員とつながり学び合おうという」メッセージ、難しいんですよ!今までも
定有堂書店「読む会」の展開:街の読書運動の可能性<報告> 鳥取県立図書館・中尾有希子(なかおゆきこ) 2023年6月25日、鳥取県立図書館において、郷土文化講演会+定有堂「読む会」フォーラム『定有堂書店「読む会」の展開―街の読書運動の可能性―』を開催した。きっかけは、全国の本好きや書店員の聖地として知られた「定有堂書店」(鳥取市・1980年開店)が今年4月18日に閉店するという衝撃的な出来事であった。 本フォーラムでは、定有堂書店で街の中にある本好きな人が集う読書会として1988年から毎月開催されてきた「読む会」を取り上げ、民間での読書運動や図書館の取り組みを知り、読書運動の重要性を考える機会とした。本稿ではその概要を報告する。 第1部では、「読む会」の選書担当である岩田直樹氏(公立鳥取環境大学特任教授、元高校教諭)が「定有堂書店「読む会」と教育哲学の発見」と題して講演した。 まず初めに、
このエッセーは岩波書店『図書』2023年4月号に掲載された 「はじまりの京都文学レジデンシー」に大幅に加筆したものです 2022年10月21日、第1回京都文学レジデンシーが終わりを迎えた。日本発の国際的文学レジデンシーに、チェコ、シンガポール、ニュージーランド、ベルギー、米国、日本の作家と翻訳家計6名が集い、3週間京都に住まい、執筆に専念するかたわら、京都の街をとにかく歩き回り、ともに飲み食い語りあい、互いのことばを分かちあった。初回レジデンシーは、実行委員の私たちが予想もしていなかった形で実現したのだが、ふたを開けてみれば、文学レジデンシーの趣旨に賛同してくれる6人の作家たちの人柄と文学への熱意が共鳴しあって、私たちの想像を超えるクリエイティヴな場が生み出された。期間中、私は何度も驚き、幸運に感謝したものだった。けれど、思い起こしてみれば、文学的瞬間とのめぐり逢いは、いつだって不意を打た
ITに関する研修のオンライン化に伴うメリットとして、受講者用PC数の制限からの解放、自機関で保有するデータを研修で使用できることが挙げられる。集合研修では運営元の所有するPC数によっては、受講者1人1台を確保できないことがあり、実習の際に実際に手を動かす受講者が限定されてしまうことがあるが、そのPC数の制限から解放され、受講者全員が実習を行うことができる。また、研修に自機関のネットワーク内から接続する受講者の場合、図書館システム等からデータを抽出して他のデータと連携させる等、研修後の実地に近い形で実習を行うこともできる。 2020年度にオンライン研修の計画を進めていくなかで、デメリットとして、受講者同士の交流が生まれにくいこと、グループ討議の滑り出しがスムーズにいかないこと、ファシリテーターが実習・討議の進捗を把握しにくいことが予想された。そこで、受講者全体、またグループに分かれた際(We
関西で行われる「関西演劇祭」でフェスティバル・ディレクターを務める板尾創路さんが、演劇にまつわる様々な方と対談する連載企画。今回ゲストでお迎えしたのは、京都を拠点に活動し、唯一無二の作品を生み出し続けるヨーロッパ企画代表で脚本・演出家の上田誠さん。以前から親交のあるお二人に、土地や環境が演劇に与える影響や、演劇に求めるものについてお話を伺いました。 “職人カタギ”な上田誠が映画制作で意識したこと −板尾さんは、上田誠さんの作品やヨーロッパ企画についてどのような印象を持たれていますか? 板尾「以前、スズナリで上演された作品を見に行きました。映画『リバー、流れないでよ』も見たけど、上田くんらしい作品でしたね。劇団の皆さんも出演しているので懐かしくて、みんなおっちゃんになったなぁと思って(笑)。上田くんの脚本は独特で、面白い作品を何年も生み出し続けてすごいですね。京都人やなという感じもする。脚本
「アタック25Next」司会者としての想いを語った谷原章介撮影=梁瀬玉実 『めざまし8』(毎週月~金曜 朝8時~、フジテレビ系)のメインキャスターなどで知られる“朝の顔”谷原章介。懐の深い言葉選びと柔らかな物腰で、さまざまな番組の司会を任されている。なかでも注目を集めたのは、名優・児玉清からバトンを受け継いだ『パネルクイズ アタック25』(テレビ朝日系)の司会抜擢だった。歴史ある同番組は2021年に地上波での放送を終了したものの、現在はBS放送局「BSJapanext」にて『パネルクイズ アタック25 Next』(毎週日曜 昼1時25分~)と名を改めて放送中。地上波から引き続き司会を務める谷原に、同番組にかける想いを漏らさず聞かせてもらった。 「自分が招いた結果を取り戻せた」歴史ある番組にかける想い 撮影=梁瀬玉実 ――2015年から約6年間、地上波放送の『アタック25』の司会を務めていた
建設費の膨張、参加予定国の撤退など混乱の大阪・関西万博について英紙「フィナンシャル・タイムズ」が皮肉めいたコラムを掲載。その手に汗握る展開は、まるでドキュメンタリードラマを観ているようだと揶揄する。 会場はいまだ「殺風景な駐車場」 メキシコとエストニアは撤退を表明したが、デンマーク、カメルーン、ジャマイカはまだ参加を希望している。 建設費のあまりの急騰ぶりに、ブラジル、アルゼンチン、ポーランドは、自国のパビリオンを簡素な「倉庫タイプ」へ変更することを検討中だと伝えられる。 欧州のある国は、日本最大手の建設業者から「希望通りのパビリオンを作ることはできるが、完成は万博が閉幕してから1ヵ月後になる」と告げられたらしい。 ドキュメンタリードラマのシリーズを一気見できる時代にあって、2025年大阪・関西万博の開催準備は「完璧」な進捗を見せている。主催者側が全力で頑張れば、2シーズン分のボックスセッ
クイズバーに初めて行った。全く楽しめなかった。私は昔から授業で手を上げて発言するのがとても苦手で、それは間違ってたら恥ずかしいなという気持ちが大きいのだけれど、そういう人間にはクイズは向いていないのだった。 場の空気を楽しめればいいなと思って行ったけど、クイズは強制参加だった。それが初心者にはキツかった。正解した人から早抜けというルールがあって、案の定私は全然答えることが出来なかった。最後まで残されて、誰も早押しする人がいない状態で出された問題も分からなくて、みっともなくて情けなくて早く帰りたかった。 人並みにクイズには正解できる頭があると思っているけれど、早押しには慣れていないし、前述のように間違ってたらどうしようが勝ってしまってほとんどボタンを押せなかった。私でも絶対に正解だと確信できる簡単な問題は、早押しの得意な経験者が全部掻っ攫っていった。 そもそも初心者が経験者と同じ卓に混ぜられ
関西を拠点とする演劇団体から、こんなご相談をいただきました―― 今度、初めて東京公演を予定しているのですが、お客様に知っていただこうにも、お客様にどう知っていただいたらいいのかわからなくて、たいへん困っています。 情報を受け取る側の視点で見てみると、活動拠点が異なる団体は、街で名前を目にする機会はほとんどなく、SNS上で公演情報に出会うことも難しく、まして、口コミで聞くなんていうことは滅多にありません。関東圏に住んでいる方の多くは、関西の演劇シーンのことをほとんど知らないのではないでしょうか。 となると、今回ご相談いただいた団体だけでなく、東京で上演を予定している関西圏の劇団はみな、困っているのではないか……ならばまるっと、関西の演劇界のみなさまにも、お役に立てることはないだろうか? そして観客の皆さんも、関西の演劇シーンを知ることで関東での公演にも足を運びたくなる興味が湧くかもしれない。
セミナーや講演会をZoomで配信したい。パソコンの内蔵カメラではうまく映せないし、声も聞き取りにくいとクレームが出てしまった。そんな方も多いのではないでしょうか。 この記事では、Zoom配信のために外付けカメラ、外付けマイクなどを検討している人向けにお届けします。では、まず簡単に整理をしましょう。 超基本 Zoomはパソコン一台あればできます。 そんなことわかってるよ!との声も聞こえますが、パソコンにはいろんな機能がたった一台に詰まっているので、その切り分けをすると情報が整理できて、万が一のトラブル時にも役立ってきますから、ここはお付き合いください。 まず映像と音声に切り分けます 配信の時には映像と音声を切り分けると良いです。 パソコンに内蔵されている映像系の機能は「カメラ」と「モニター」です。 そして音声系の機能は「マイク」と「スピーカー」になります。 カメラ、マイクは「インプット」装置
ゲーム感覚のウェブアーカイブの取り組み(米国) 関西館電子図書館課・志村努(しむらつとむ) 国際インターネット保存コンソーシアム(IIPC)の2022年11月23日付のブログ記事によると,IIPCのサポートにより,米国のオールドドミニオン大学の研究者らが「ゲームウォークスルーとウェブアーカイブ」“Game Walkthroughs and Web Archiving”というプロジェクトを進めている。ゲームウォークスルーとは,ビデオゲームの攻略ガイドのことであるが,最近では実際にゲームをプレイしている動画を録画し配信することが多い。このプロジェクトでは,ゲームウォークスルーとウェブアーカイブのプロセスとの類似性に着目し,ウェブアーカイブのプロセスを動画配信し,またゲーム性を取り入れることによって,ウェブアーカイブをエンターテイメントのように楽しめるものにすることを目的としている。 近年のウェ
CA2037 – 図書館向けデジタル化資料送信サービスへの北米からの参加の現状と今後への期待 / マルラ俊江, 原田剛志
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