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「勝つだけでは、拳だけでは、搾取から逃れられなかった」 (2ページ目):日経ビジネスオンライン
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「勝つだけでは、拳だけでは、搾取から逃れられなかった」 (2ページ目):日経ビジネスオンライン
たった一つの裸電球を使い回していた彼の住まいは、1950年12月31日にニューヨーク市が貧民救済措置の一... たった一つの裸電球を使い回していた彼の住まいは、1950年12月31日にニューヨーク市が貧民救済措置の一環として建てたアパートで、「プロジェクト」と呼ばれる。バークレーはプロジェクトの家賃、700ドル弱さえも払えず、別棟に住む姉夫婦の家庭に、居候のような形で身を寄せていた。 1988年6月6日、バークレーは絶対不利の下馬評を覆し、スター王者であったトーマス・ハー ンズを第3ラウンドでノックアウトしてWBCミドル級タイトルを奪取する。とはいえハーンズの強打を左目に喰らって、網膜剥離に見舞われた。 バークレーの勝利を称える声もあるにはあったが、思わぬ伏兵がビッグネームを屠ったことで、ボクシング・ジャーナリズムには「フロック」「世紀の番狂わせ」「ラッキーパンチ」などと評される。バークレーが契約していたプロモーターも、新チャンピオンを売り出そうとはせず、名のある選手の〈斬られ役〉として宛がった。