「ネット右翼」の道徳概念システム(4)

『現代の理論』（明石書店）2008年新春号に掲載された拙稿の元原稿を、許可を得て公開します。一部の表現に違いはありますが論旨に変わりはありません。なお、執筆した2007年当時の情勢を念頭に置いて書かれたものであることをご承知おきください。 四 募金活動や（イラクでの）人質へのバッシング、「祭り」の対象となった人物への誹謗中傷や個人情報の暴露などは「ネットにおける道義心の欠如」の現われとして語られることもあるが、むしろ「ネット右翼」は過剰に道徳的であると言うことができる。募金活動への批判は「両親が自宅などの資産をまず処分すべき」といった主張を含んでいたし、イラク人質事件の際も政府の勧告を無視して危険地帯に渡航し、社会に「迷惑をかけた」ことが非難の対象となったのであった。 とはいえ、刑事事件については「被害者（遺族）の立場」を重んじることを主張しながら、従軍慰安婦問題に関しては被害者を「嘘つき

[IkaMaru]

しかし労働問題に関しては社員を苦しめる経営者を憎み、保護を訴える。自分とは無関係な所では「力」を奉じても、他者の「力」が他でもない自分をダイレクトに苦しめるような状況では結局庇護を求めるのだ

[border-dweller]

レイコフが言ってたのはアメリカの例だけど、モラルとして弱さを認めないから自分の弱さを認められないってのはありそうだと思ってしまうなぁ　/これを思い出した”http://goo.gl/S0IeKS『奥さまは愛国』を読んで。の巻”

[questiontime]

「力」が正義だと信じ、「力」を持つ国家と自らを同一視する。だから国家の意向に反するものは許さない。

[D_Amon]

「彼らが自らの弱さを認める際には「連合国により武装解除され、左傾マスコミによって洗脳された結果、反日勢力に対抗できなくなっている」といった陰謀論的な認識枠組みが発動されやすくなる」ウヨは現実逃避してる

[quick_past]

ジェンダー的価値観の最前線にいて、それを体現することで自身の性的コンプレックスから逃れようとする人がいるけど、それに近いかもしれない。価値観が単純で、それ以外の居場所がある事も見えなくなってるとか。

[namawakari]

″自らを「弱者」として表象することは彼らのモラル概念システムにとって基本的に困難である。弱いことが道徳的に許容されるのは、子どものように自らを守る力をもたない者だけである”

[myogab]

ISISが原理主義を標榜するのも同じ理路でテロが肯定されているのもその力のモラルなんだろうな。

[lotus3000]

（注6）　の指摘は重要。このシニシズムこそが多分本当の敵だ。・/あとこのメンタリティは左右はとはないような気が。スターリン主義みたいに左翼的理念を持っていいても発生する。

[nabeteru1Q78]

面白い論考。

[dimitrygorodok]

過剰に道徳的な心理は新しい物ではなく新約聖書のパリサイ人の描写にもみられるのではないかと。b:id:entry:238930017 /ただ問題の解決は問題の存在を認める所から始まるのであり、そこ避ける「強さ」は結局は欺瞞なのだ。