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田中角栄の「開発主義」の功罪:『天才』
小説としては駄作である。正味200ページ足らずで、パラパラに組まれた1人称のモノローグで書かれている... 小説としては駄作である。正味200ページ足らずで、パラパラに組まれた1人称のモノローグで書かれている田中角栄伝は、巻末に列挙されている資料を読めば誰でも書ける。ただ著者が、なぜ人生の最期に近くなって田中論を書いたのかという意図は、「長い後書き」に書かれている。 日本の高度成長期に、それを支えたテレビや高速道路や新幹線をつくったのは、田中だった。彼が議員立法で40本も法律をつくった記録は、いまだに破られていない。日本の政治家のほとんどが官僚のつくった法律に文句をつけるだけなのに対して、田中は憲法の理想とするlawmakerとして、ずば抜けた能力を発揮したのだ。 彼の政治哲学はナショナリズムだった、と著者はいう。エネルギー資源に乏しい日本が発展するためには原油の確保が必要だと考えて中東外交を積極的に行ない、原子力開発のために地元に交付金を落とすシステムをつくった。しかしそれは日本を支配下に置こ
2016/02/17 リンク