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『日立事件とキヤノン事件』
知財弁護士の本棚企業法務を専門とする弁護士です(登録28年目)。特に、知的財産法と国際取引法(英文... 知財弁護士の本棚企業法務を専門とする弁護士です(登録28年目)。特に、知的財産法と国際取引法(英文契約書)を得意としています。 ルネス総合法律事務所 弁護士 木村耕太郎 知財ぷりずむ2009年7月号の「キヤノン職務発明事件高裁判決における問題点」を読んだ。うちの事務所はキヤノン事件に関与しているので言えないことも多いが、正直「???」という感じの論稿である。 論稿は、「使用者が受けるべき利益の額」の計算方法が日立事件と違うのが日立事件の最高裁判決の違反だと主張している。しかし、日立事件において、最高裁は「使用者が受けるべき利益の額」の計算方法について何ら判断していない。上告審の審理の対象になったのは、外国特許分についても補償しなければならないかという論点だけである。日立事件で「使用者が受けるべき利益の額」の計算方法について判断したのは高裁までである。したがって最高裁判例の違反など、ありえな