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奥田英朗「沈黙の町で」書評 緊迫感に満ちた、いじめ真相解明|好書好日
沈黙の町で [著]奥田英朗 奥田英朗は、もともと引き出しの多い作家で、どれを読んでもおもしろく、失望... 沈黙の町で [著]奥田英朗 奥田英朗は、もともと引き出しの多い作家で、どれを読んでもおもしろく、失望することがない。 この作品は、一昨年から昨年にかけて、本紙に連載された新聞小説である。これを読むと、著者がきちんと自分の小説作法を持ち、読者を最後まで引っ張るための枠組みを、明確に意識しながら書いていることが、よく分かる。 まず、中学生のいじめという、きわめて今日的かつデリケートなテーマを、正面から取り上げた姿勢に、著者の覚悟のほどがうかがわれる。誤解を恐れずにいえば、この作品を問題提起型説教小説ではなく、あくまで手ごたえ十分のサスペンス小説として、書ききったところがすごい。 冒頭、某地方都市の中学生名倉祐一が、部室棟と並ぶ銀杏(いちょう)の木の下で、頭部損傷死体となって発見される。長丁場の小説で、前置きなしにいきなり事件からはいる呼吸のよさは、読み手を否応(いやおう)なしに引きつける。まさ
2013/10/14 リンク