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首木の民(1/4)/誉田哲也:試し読み|双葉社文芸総合サイトCOLORFUL
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首木の民(1/4)/誉田哲也:試し読み|双葉社文芸総合サイトCOLORFUL
大学の客員教授、久和が窃盗と公務執行妨害の容疑で逮捕された。職務質問を受け、運転する車の中から、... 大学の客員教授、久和が窃盗と公務執行妨害の容疑で逮捕された。職務質問を受け、運転する車の中から、血の付いた他人の財布が発見されたのだ。久和は内閣府が設置する経済財政諮問会議に出席したこともある経済政策通。取調べが一向に進まない中、財布の持ち主の線から、ある組織の人物が関わる「企み」が見えてくる。 直木賞候補作『背中の蜘蛛』から5年。著者が新たに描くのは、みなさんの生活に深く関わる「お金」の話。長編『首木の民』の冒頭から、前代未聞の取調べの様子をお届けします! 隣に、妻がいない朝を迎えるのにも、もう慣れた。 朝六時。起こしに来てくれるのは、娘の詩し月づきだ。 「おい、いい加減にしろよ。もう起こさねえぞ」 サッカーでいったら「インサイドキック」だろうか。ドアに蹴りが入るのも毎度のことだ。 「……はい、すみません……もう、起きます」 「もうじゃねえよ。返事はいいから今すぐ体起こせ。起きて立ってこ