異常気象の脅威が高まるなか、世界は「災害のデパート」日本から“レジリエンス”を学べ | しかし災害が多いゆえに進まない気候変動対策

日本ほど多くの自然災害に見舞われる国もない。相次ぐ災害によってリスクと共に生きる方法を学んだ日本は、世界に示せる教訓も少なくない。一方、気候変動という新たな脅威に対する日本の危機感は薄いと、英誌「エコノミスト」は警鐘を鳴らす──。 災害によって形成されたレジリエンス 非営利団体ピースボート災害ボランティアセンターの辛嶋友香里は、色分けされた地図の前に座り、2021年8月に佐賀県での洪水で浸水した住宅街を指差している。それはこの2年で2回目の洪水だった。 辛嶋は何時間もかけて災害現場に駆けつけ、テレビのカメラが去ってからも長くその地に残った。湿った壁からかびを取り、次の災害に備えて住民を訓練していたのだ。 次々と起こる災害ゆえ、彼女は忙しい。