イッキ読み必至！先行の見えない世の中において、確かなものとはどこにあるのか...？不安定な現代社会を鋭く描く、新たな山岳小説（松永 K 三蔵）

道とは言えない山道をひとりゆくその人の思いはどこにあるのだろう——建物の改修を専門とする新田テック建装に勤める波多（はた）は、会社の登山部に参加している。あるときの山行に営業二課の妻鹿（めが）さんが参加することになった。妻鹿さんは「バリ」をやっているという。社内情勢に気を留める様子もなく、淡々とやるべき仕事をこなし「バリ」をする妻鹿さん。彼のやっている「バリ」とはなんなのか。なぜ彼は山へ向かうのか？松永K三蔵さんによる、群像新人文学賞優秀作受賞第一作『バリ山行』（「群像」2024年3月号掲載）の試し読みを再編集のうえ公開します。 （......） 「ね、波多さん、コレじゃないですか？」 翌朝、出勤してきた多聞さんはスマホの画面を私に見せた。登山アプリの画面。アカウント名は”ＭＥＧＡＤＥＴＨ”。「ほら、メガデスゥって」多聞さんは舌の先を嚙んで言う。ＭＥＧＡＤＥＴＨはアメリカのヘヴィメタルバン

[OKP]

妻鹿さんは名字なのね。多聞さんも珍しいし、波多さんの表記もはじめて見た。これだけではなかなか展開は想像できないけど、読んでみたいな