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白糖通信(仮)
佐藤哲也氏の訃報に接したときの気持ちをどう表現すればよいのか、正直なところいまだにわからない。私... 佐藤哲也氏の訃報に接したときの気持ちをどう表現すればよいのか、正直なところいまだにわからない。私自身は氏の良い読者であったとは決して言えないだろうけれども、それでも、その作品の質に対して、あまりに評価が低すぎる作家のひとりだったとは思っているし、「ひとりだった」と、過去形でいまでは言わなければならないことに対しては、無念である、というのが心からの思いだ。 短編集『町 マラキム』を、Kindleでここ数年にわたり少しずつ読んでいた。どこを切っても面白い短編集で、1話読み終えたときの満足度が非常に高く、焦って読まなくても待っていてくれるテクストだ、と思っていた。その思いは、「魚」を読み終えた今も変わらない。おそらく、10年後の、20年後の私が読んでも楽しめる作品群であろう。けれども、このようなすばらしい作品を読むことができて幸せです、と、氏の目の届きうるところで口にするのが間に合わなかったこと