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古文真宝と古文観止 - Cask Strength
先週とある日の雑談から思い出したこともあって。 祖父が昔突然「ヨ、カノハリョウノショウジョウヲミル... 先週とある日の雑談から思い出したこともあって。 祖父が昔突然「ヨ、カノハリョウノショウジョウヲミルニ、ドウテイノイッコニアリ・・・」と朗誦を始めたときには何のことかと思いましたが(祖父は「お前こんなのも知らないのか」という顔をしていましたが)、これが「岳陽楼記」の一節であったと気付いたのはだいぶ後になってからでした。戦前の教育を受けた人にとって『古文真宝』は漢文の教科書的存在として大きな意味を持っていたのですね。 私は『古文真宝』を復権させようというつもりはあまりありません。素性のよくわからない本でして、中国ではだいぶ早くに廃れました(四庫全書にも入っていません)。本文も、信頼性の高い他のテクストと校合するとどうも具合の悪いところがある。一言でいえば「俗書」です。その歴史的使命は終えたと言っていいと思います。 中国では『古文真宝』の代わりによく読まれているのが清代に成立した『古文観止』です