よりそうSPECIAL INTERVIEW：平野啓一郎さん 排他的大声に「ノー」 生きる意味問い続け | 毎日新聞

毎日新聞創刊145年特集 純文学の旗手にしてオピニオンリーダーの平野啓一郎さん。昨年刊行された小説「マチネの終わりに」（毎日新聞出版）がベストセラーとなって多くの読者の心を潤している。40代の大人の男女が育む愛の物語だ。「男女だけでなく、さまざまな愛を書きました。親子愛、師弟愛、芸術への愛、弱者への愛……」。作品が幅広い層の共感を集めるゆえんだ。 ヒロインは通信社の記者。イラクで取材中にテロに遭って心にダメージを負うが、やがてイラク難民の女性を救おうと行動する。平野さんはこの展開に迫真性を持たせるため、執筆開始前の２０１４年秋にジャーナリストの後藤健二さんにインタビューしている。紛争地の弱者に寄り添う報道が敬愛されていた後藤さんは、15年に入ってシリアで過激派組織に殺害された。「後藤さんのような方が共感してくださる小説を書こうと思っていま…