未解決事件の誤ったうわさ消したい 映画主演、元石川県警刑事の思い | 毎日新聞

石川県警の元警察官で、今夏公開された同県白山市出身の村山和也監督の初の長編映画「とら男」で主演を務めた西村虎男さん（72）。刻み込まれた深い皺（しわ）、鋭い眼光、自然体で朴訥（ぼくとつ）とした語り口……。銀幕の中で強烈な存在感を放ち、昨年のTAMA映画祭のコンペではベスト男優賞にも輝いた。 映画の題材は、1992年に金沢市のスイミングスクールの女性コーチが殺された実際の未解決事件で、当時、捜査1課特捜班の刑事として関わった。今回、村山監督から出演依頼を受け悩んだが、門外漢の映画への協力を決断したのは「事件の間違ったうわさを消せるのは自分しかいない」という元捜査員としての“使命感”だった。 事件直後、同県警は特定の人物を犯人だと決めつける「見込み捜査」を展開したため、世間ではその人が犯人だといううわさが広まった。異動のため約1年で事件から離れたが、約10年後、特捜班長として再び事件捜査に戻り