「即刻出発せよ」－被爆翌日の記録を命じられた詩人が見たものは | 毎日新聞

「長崎視察のために即刻出発せよ」――。米軍が1945年8月9日に長崎に原爆を投下した翌日、旧陸軍の西部軍報道部員3人が調査の命令を受けて現地に入った。詩人の東（ひがし）潤（1903～77年）と画家の山田栄二（1912～85年）、カメラマンの山端庸介（1917～66年）。被爆から78年の今夏、当時41歳の東が長崎の惨状を記録したルポルタージュと、33歳だった山田が描いた29枚のスケッチがそれぞれ冊子で復刻した。彼らが見聞きし、記録したものとは。 東は山口県出身。文学同人「九州文学」の一員として芥川賞作家の火野葦平（あしへい）らと執筆に励んだ。東の長崎のルポは被爆7年後の52年に出版された写真集「原爆の長崎」に一部が載り、55年8月号の「九州文学」に全文が掲載された。ルポはその後長らく、多くの人の目に触れる機会はなかった。 「これは宝だ」書棚で偶然発見 その直筆の原稿を2019年、長男昭徳さん