マルチ２世：土下座して金を無心する母 マルチ商法ハマり、冷え切った家族の仲 | 毎日新聞

「86万円を貸してください」 母親が部屋に入ってくるなり土下座した。深夜0時すぎ。布団に沈めた重たい体を起こし、ため息をつく。もうこれっきりにしてほしい――。 数日後、預金を下ろし、全額手渡した。 連載「マルチ2世」では、マルチ商法に翻弄された家庭の実態に迫ります。これまでの記事はこちら ＜同時公開＞ 人間関係の破綻、自殺まで マルチ商法の問題点と甘すぎる規制 ＜次回＞ 年収1000万超の“勝ち組”が語った「母がマルチにハマるわけ」 心操る「勧誘マニュアル」の中身 マルチ企業が会員向けに作成 西日本に住むこころさん（仮名、40代）は母から幾度となくお金を無心され、その額は200万円以上に膨らんだ。返済はほぼゼロだ。 冒頭のやりとりを機に、一方的な貸し借りに区切りをつけようと実家を出た。だが、それで母から解放されたわけではなかった。 こわ張る母の顔 60歳を超えた母がお金をつぎ込んだ先は、健