「独裁時代」強制隔離下の説明なき投薬 ハンセン病療養所の実態 | 毎日新聞

第二次世界大戦のさなかから戦後にかけて国立ハンセン病療養所「菊池恵楓園」＝熊本県合志（こうし）市＝であった薬剤「虹波」の臨床試験を巡る園の調査報告からは、当時の国による強制隔離政策の下、入所者たちが十分な説明なく投薬を受け、拒むこともできなかった実態が浮かぶ。 報告書の資料には、2014年に熊本県「無らい県運動」検証委員会がまとめた戦時中の入所者の証言が引用され、「1日3錠から（中略）園長の目の前で服用しなければならず」「投与開始から1カ月するかしないかぐらいに胃けいれん」「園長独裁の時代だったから入所者がもの申すことはなかなか難しかった」などとある。 ハンセン病はかつては「らい病」と呼ばれ、感染力が極めて弱い感染症だったが、国は明治時代から強制隔離政策を取り、昭和初期には官民一体で地域の患者を収容する「無らい県」運動を展開。戦後に治療法が…