孤独という病 | 令和の幸福論 | 野澤和弘 | 毎日新聞「医療プレミア」

2018年に世界で初めて「孤独担当相（Minister for Loneliness）」を設けたのはイギリスである。孤独や孤立が心身に深刻な影響を及ぼすことを重視したためで、「孤独は現代の公衆衛生上、最も大きな課題の一つ」と当時のメイ首相は述べた。孤独による経済や社会的損失は4.8兆円に達するとの試算も示された。 日本も21年に「孤独・孤立対策担当相」が新設され、今年の通常国会で「孤独・孤立対策推進法」が制定された。重点計画の策定、相談支援や人材育成の推進などが盛り込まれた。 虐待、家庭内暴力、孤独死、8050、ゴミ屋敷など、私たちが直面している社会課題の多くは孤立や疎外が強く影響している。情緒的なイメージで語られることが多いが、孤独は現代社会の土台をむしばんでいく病であり、早急な対策が必要な重要課題と認識すべきである。 つながりの欠如 日本人の命に危機をもたらしているのは、人間関係のつな

[taketake89]

”2018年に世界で初めて「孤独担当相（Minister for Loneliness）」を設けたのはイギリスである。孤独や孤立が心身に深刻な影響を及ぼすことを重視したため”