ひきこもり臨床論としての美術批評 - Freezing Point

斎藤環『アーティストは境界線上で踊る』（みすず書房）刊行記念のトークショー、 斎藤環×岡崎乾二郎 「アートに“身体”は必要か」 を熟読した（掲載は『みすず（no.563）』2008年8月号）。 これを私は、美術批評であると同時に、ひきこもり臨床論として読んだ。 岡崎乾二郎の議論は、斎藤環の「発想のあり方」へのあからさまな批判なのだが、斎藤は最後までそれに気づいていないように見える。 私はこの対談を、ひきこもりや就労支援の関係者にこそ読んでほしい。 誰かの努力や存在が社会的に排除され、誰かがぬくぬくと「内側」にいることになっている*1。 そこに批評を口にするときの態度の違いは、そのまま支援案のちがいになる。 排除された努力や存在を受け止めるときに（あるいは無視するときに）、どんな発想が必要なのか。 作品であり、労働過程である私たちは、単に全面受容されるべきではない。 では、どんな厳しさが必要

[ishikawa-kz]

「見えない生産過程のほうを模写しようとする」このエントリを読みながら、文芸批評にも通じると思う。自己自身の場所や組成を動的に問うことなしに批評はありえない。それは文学のみならず人間の営み全てにも。

[nanospectives]

“本当に排除される危うさを生きているのは、境界線上で分節する過程であり、その生産物だ。 それは、内と外の両サイドから「存在しなかった」かのように扱われる。”

[mn_kr]

“「私はアウトサイダー」と言うことの問題点＝“本当に外側に排除される側としては、「内なのか外なのか」という境界線の策定にこそ紛争の焦点がある”｜“働きに出ている人たちは社会に向けて排除されている。”

[gnarly]

ブクマし忘れていたとは不覚/"本当に排除される危うさを生きているのは、境界線上で分節する過程であり、その生産物だ。 それは、内と外の両サイドから「存在しなかった」かのように扱われる"

[reina]

岡崎乾二郎の、「芸術」に対する真摯さが伝わる。アートが社会的文脈で捻じ曲げられることを嫌うこんな人物にとって、斎藤環の安易な試みは相当許しがたいのじゃないかな。

[massunnk]

アウトサイダーをひきこもりと結びつけるのはちょっと無理があるように感じるが、面白い斎藤環批判。けど斎藤環は本業医者だからしょうがないような気も…。

[tokyocat]

《本当に排除される危うさを生きているのは、境界線上で分節する過程であり、その生産物だ。 それは、内と外の両サイドから「存在しなかった」かのように扱われる》

[ohnosakiko]

斎藤環には「内外」を安易に切り分ける視点しかないという話。実作と批評を両方高いレベルでやってきた岡崎乾二郎には、なかなか敵わないだろうなぁ。

[hizzz]

美手帳連載時も評判悪くインタビューした作家当人たち次々に否定されていた、美術批評の傘の下での環の人格ステレオタイプを増幅させて作家におっかぶせた作品印象論

[soulstice]

同感。彼の言葉には、芸術として内在的に成立することの難しさに頭を悩ませた痕跡が見られない。　ニーチェとかアルトーとかクリステヴァから物言いを借りてきても、その内実については何一つ分かってないだろうね。