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幻想の世界の住人
「もう、どうでもいいや・・・借金返済もゆっくりでいいや・・・定職なんてつかなくていいや・・・お金... 「もう、どうでもいいや・・・借金返済もゆっくりでいいや・・・定職なんてつかなくていいや・・・お金が無くてもいいや・・・家庭を持つのはもうんざりだ・・・早く人生終わんないかな・・・」 あの時の僕はこんな思考で日々を怠惰に消化していた。 休日の昼から飲むお酒だけが唯一の癒しだった・・・ そんなある日、母親からlineが来た。 「お誕生日おめでとう!! 東京で元気にしてますか??? たまには連絡ください。」 人の温かい温もりを久し振りに感じた気がした。 気が付けば僕は36歳になっていた・・・ 年末年始という日雇い派遣が忙しい時期の到来にうんざりしつつも満員電車に揺られて朝から新しい現場に向かう。 「柿沼と言います。よろしく。」 振り返るとおじいちゃんが立っていた。 「あっ、どうも・・・鉄郎です。よろしくです・・・」っと、だけ告げて作業着に着替えた。 最初の印象はいかにも仕事できなさそうな動きが遅