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坂口安吾 諦めている子供たち
雪の晩げに道を歩くと雪ジョロがでるすけオッカネぞとおらとこのオトトもオカカもオラたちに云うてオッ... 雪の晩げに道を歩くと雪ジョロがでるすけオッカネぞとおらとこのオトトもオカカもオラたちに云うてオッカナがらすろも、オラそんげのこと信用(しんよ)しねわい。そらろもオレもオッキなってガキどもができると、そんげのこと云うてオッカナがらすかも知れねな。人間てがんはショウがねもんだて。そらすけオラいまから諦めてるて。 雪の夜道を歩くと雪女郎がでるから怖しいぞとオレのウチの父も母もオレたちに云ってこわがらすが、オレはそんなこと信用していない。けれどもオレも大きくなって子供ができると、そんなことを云ってこわがらすかも知れない。人間というものは仕様がないものだ。それだからオレはいまから諦めてるよ。 小学校四五六年生くらいの子供の言葉と思っていただけばよい。新潟県は土地々々で非常に方言がちがい新発田あたりだけはまるで仙台弁のように鼻にかかる少地域なぞが介在したりするが、いま書いたのは新潟市の方言だ。新潟の子