負のスパイラルに陥る路線バス 専門家が指摘する公共交通とビジネス：朝日新聞デジタル

バスの運転士不足が深刻だ。 全国的に路線バスは減便を強いられ、廃止になった路線もある。大阪府富田林市などで路線バスを走らせていた金剛自動車は、全路線の運行を来月で終了すると決めた。 バス交通の危機は長年叫ばれながら解決しない背景には何があるのか。関西大学・宇都宮浄人教授（交通経済学）は「地域の公共交通を全面的に民間ビジネスとして委ね、運営してきた特殊な状況のツケ」と分析する。 「運転士不足の根本にあるのは、バス運転士の労働環境が悪すぎること。給料は他の産業の8割なのに、労働時間は1割長い」と宇都宮教授は指摘する。 国土交通省の交通政策白書によると、2022年のバス運転士の年間所得額は399万円で、トラック運転士より57万円安く、全産業平均より98万円安い。一方、1カ月の労働時間は193時間で、トラックに比べ19時間短いものの、全産業平均より16時間長かった。 「バス運転士は朝早く、夜遅いこ