【国の指示権拡大】なぜ必要か説得力欠く | 高知新聞

国の権力を正当な理由もなく拡大させれば、恣意（しい）的で不当な地方自治への介入が起こる恐れも高まる。慎重な対応が求められる。 大規模災害などの非常時に、自治体に対する国の「指示権」を拡大する地方自治法改正案が、衆院を通過した。 国の指示権は、必要に応じて個別の法律ごとに定められているが、改正案では、個別法に規定がなくても「国民の生命保護のために特に必要な場合」だと国が判断すれば、行使できるようにする。 しかし衆院の審議を通じて、指示権拡大を必要とする具体的な根拠や事例が説明されることはなかった。これでは、政府が単に中央集権的な国づくりを進めたいだけなのではないかとの疑念が拭えない。必要性が十分示されないままでの法改正には賛同できない。参院では基本に立ち戻った議論を行うべきだ。 そもそも、国による地方への関与は最小限でなくてはならない。２０００年施行の地方分権一括法は、国と自治体の関係を「対