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【著者に訊け】佐藤亜紀氏 冒険小説『黄金列車』
【著者に訊け】佐藤亜紀氏/『黄金列車』/1800円+税/KADOKAWA 今となっては「?」が、幾つも浮かぶ話... 【著者に訊け】佐藤亜紀氏/『黄金列車』/1800円+税/KADOKAWA 今となっては「?」が、幾つも浮かぶ話ではある。そもそも第二次大戦中にハンガリー政府が押収し、ソ連の侵攻を恐れて国外に移したユダヤ系住民の個人資産は、国有財産と呼べるのか? はたまた賄賂にまで領収書を書かせる役人が、本当にイイ役人なのか……。 佐藤亜紀氏の新作は、その名も『黄金列車』。1944年12月にブダペシュトを発ち、道中、保管庫に立ち寄ってお宝をごっそり積み込んだ、通称・黄金列車の約4か月に亘る迷走劇を、積荷の管理業務を命じられた大蔵省の中年職員〈エレメル・バログ〉らの奮闘を軸に描く、冒険小説だ。 ハンガリー~オーストリア間を横断する巻頭の経路図に壮大な活劇を期待すると、おそらく作品全体を覆うどんよりした空気や、銃一つ抜かない地味な闘いに、一旦は戸惑うはず。だが、軍人ならぬ文官の彼らが、お役人として粛々と業務に徹
2019/12/06 リンク