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嚢胞性線維症
米国で最もよく知られる遺伝性疾患の1つ「嚢胞性線維症(のうほうせいせんいしょう)」は,病気の原因... 米国で最もよく知られる遺伝性疾患の1つ「嚢胞性線維症(のうほうせいせんいしょう)」は,病気の原因となる変異遺伝子を2つもつ人が発病する劣性の遺伝病である。米国の白人の20人に1人がこの遺伝子を1本もつ保因者である。米国では毎年1000人の病気の子供が生まれ,約3万人の患者がいるという(日本での患者数は少なく,1952年から現在までで50人が報告されている)。 この病気に侵されると,ねばねばした分泌物が,肺やすい臓,小腸,肝臓などさまざまな器官の管に詰まり,機能が破壊されてしまう。とくに,気管支の症状は致命的であり,患者の多くは感染症を繰り返しながら,肺疾患ために20代までに亡くなる。 長い間,臨床面での理解が先行していたが,1980年代に入って,生化学的な研究が急速に進んだ。その結果,患者では,上皮細胞にある塩素イオンチャンネルの機能が損なわれ,他方,ナトリウムイオンも,感染内腔から再吸収