初の全国調査で浮かぶ実態 認知症がん患者、悩む病院 治療の意思決定 手探り 見通せぬ退院後の支え：東京新聞 TOKYO Web

「患者本人が治療について判断できない」「在宅での治療を支える家族がいない」－。日本対がん協会（東京）が昨年春に全国のがん診療連携拠点病院を対象に行った調査で、認知症のがん患者への対応に病院が苦慮している実態が明らかになった。国のがん対策推進基本計画では認知症のがん患者や家族への早期の支援が必要としているが、「現場の対応は遅れている」との指摘もある。（五十住和樹） 認知症の80代の男性は今年2月、千葉県内の病院で内視鏡検査を受け、胃がんが見つかった。手術で摘出できると診断され、主治医の前では「はい」と答えたが、帰宅後には「何も悪いところはない。外科なんか通っていないよ」。入院や手術の同意は困難だった。医師・看護師やソーシャルワーカーなど多職種と家族が「本人は何を望むのか」を推測して最善の方法を探り、本人の意思決定を継続して支えることになった。 70代の認知症の女性は昨年夏に同病院で肺がんと分