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【書評】『11 eleven』津原泰水著+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
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【書評】『11 eleven』津原泰水著+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
虚実皮膜の魅惑がたっぷり SF、ミステリー、怪奇小説、エンターテインメント、純文学、私小説等々、... 虚実皮膜の魅惑がたっぷり SF、ミステリー、怪奇小説、エンターテインメント、純文学、私小説等々、小説のジャンルは多様であり、一応は各分野に分けることはできる。しかし、11編の作品を収めた本書を読むと、そんな区分は必要ない。著者はSF小説、幻想小説作家として第一線で活躍する作家であるが、ジャンルを超えた小説の持つ変幻自在の面白さ、幻想と現実が交差する虚実皮膜の魅惑がたっぷりと味わえる。 巻頭の「五色の舟」からして圧倒される。戦時下に身体の畸形(きけい)を見せ物とする一座が、岩国の下駄(げた)屋に生まれた「くだん」という怪物を求めて旅をしていく物語である。戦火と滅亡の予感の下にうごめく異様な肉塊の祭り。それは陰惨で怪奇であるが、その一座の家族の絆のなかに神秘的な一筋の光が立ち上ってくる。内田百●(ひゃっけん)の名作「件(くだん)」を想起させるが、この作家の抒情(じょじょう)を殺した筆致は、虚の