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「裏切られても稀勢の里が好き」 内館牧子さんの思い:朝日新聞デジタル
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「裏切られても稀勢の里が好き」 内館牧子さんの思い:朝日新聞デジタル
裏切られても裏切られても、私は稀勢の里が好きだった。初優勝や綱とりや、それらの機会が訪れるたびに... 裏切られても裏切られても、私は稀勢の里が好きだった。初優勝や綱とりや、それらの機会が訪れるたびに新聞社から電話が入る。 「実現したら原稿を下さい。千秋楽まで見て、翌日が締め切りですが、何とかぜひ」 私はそのたびに答える。 「稀勢の里なら、何を後回しにしても書きますから」 やがて、千秋楽を待たずに連絡がある。 「今場所はもうダメですね。原稿、書いて頂く必要がなくなりました」 これを繰り返す間、照ノ富士、琴奨菊、豪栄道の3大関が先に賜杯(しはい)を抱き、横綱昇進への期待が大きくなった。稀勢の里だけが優勝経験のない大関となっていた。当初、貴乃花に次ぐ史上2位での出世街道を走ってきただけに、自分は何をやっているのかと苦しんだであろうし、期待に応えられない情けなさにも泣いただろう。 そんな稀勢の里を、私はずっと「バスがダメなら飛行機があるさ」と思って見ていた。 私が稀勢の里の年齢の頃、何も…