【回顧２００８文学】エンターテインメント 東野圭吾の独壇場 : 出版トピック : 本よみうり堂 : YOMIURI ONLINE（読売新聞）

２００６年のエンターテインメント回顧で、東野圭吾は「国民作家への階段を上りつつある」と書いた。『流星の絆』（講談社）『聖女の救済』『ガリレオの苦悩』（ともに文芸春秋）がトーハン発表の文芸の年間ベストセラーベスト３を独占した今年は、まさに「国民作家」となった東野の独壇場だった。探偵ガリレオこと湯川に象徴される物語の理知性と抑制の利いた情感は、今という時代のクールさに合い広く読者を引きつける。 『ゴールデンスランバー』（新潮社）で山本周五郎賞、本屋大賞、「このミステリーがすごい！」１位など４冠となった伊坂幸太郎のスタイリッシュな感性。『私の男』（文芸春秋）で直木賞に輝いた桜庭一樹の南米文学に通じる幻想性……。旧来のリアリズムの殻を破った「新世代」が評価された年でもあった。ともに１９７１年生まれ。２０００年代を通じて力を蓄えてきた団塊ジュニア世代の実力が開花しつつある。 ＳＦでは壮絶な未来世界を