『検証 長篠合戦』 平山優著 評・松木武彦（考古学者・国立歴史民俗博物館教授） : 本よみうり堂 : 読売新聞（YOMIURI ONLINE）

柵を構えて銃身を並べる織田・徳川連合軍。騎馬で突進するも被弾して倒れる武田軍。屏風絵（びょうぶえ）で名高いこの長篠合戦ほど、勝敗、新旧、盛衰、賢愚といった対置の構図を強調して語られてきた戦いはない。人気のゆえんもそこにある。 ただそれだけに、しばしば偶像破壊も試みられてきた。有名な鉄砲三段撃ちや騎馬突撃などを虚構とみる説があり、それへの反論もまた熱い。 著者は丹念に史料を読み解き、戦場考古学の最新成果も用いながら、是々非々の冷静な姿勢でこの戦いの真実に迫っていく。武田氏も決して鉄砲を軽視していなかったこと、織田・徳川軍の軍事編成に特段の革新性があったわけではなかったことなどが浮き彫りになる。 何が明暗を分けたのか。畿内の物流を押さえて多数の鉄砲や弾薬を装備できた織田方と、後背地にあってそうしたくともかなわなかった武田方との「経済力」の違いに着目する点などは説得力がある。 著者は高校の先生。

[sutannex]

武田勝頼が愚直に突撃を繰り返したので無いのなら面白い。三段打ちが実際無かったとしたらちょっと残念だけど読みたいなコレ。