北条政子と聞いて、どんな人を思い浮かべるだろうか。教科書でも知られる政子は、伊豆国出身の豪族・北条の家に生まれ、源頼朝と結婚し、彼の亡き後には、政治の実権を握ることになる。女性が政治の場で活躍することが容易でなかった時代に、どんなふうに権力の座についたのかという関心も沸くし、数々の悪女としてのエピソードも残っていることから、嫉妬深く、気性の激しい女性といったようなイメージがつきまとっているかもしれない。 NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が始まったときにも、北条政子という人が、徐々にその恐ろしさを表すのではないかと思っていたのだが、どうもこのドラマは政子をそのような視点では描かないようだと思えてきた。 政子(小池栄子)がドラマに初めて登場するのは第1回「大いなる小競り合い」でのこと。伊豆の有力者・伊東祐親(浅野和之)の娘の八重(新垣結衣)との間に勝手に子どもをもうけたことで祐親の怒りを買い