「美男美女にバブルスター!」。大物俳優たちが上半身裸で連呼するCMを覚えているだろうか。「原ヘルス工業」の故原全三郎氏(本名・善三郎)が超音波温浴器を引っ提げて現れたその時期、日本にはバブル景気が訪れようとしていた。だが、原氏の“バブルスター人生”は一足早く墜落する。 *** 自宅の浴槽にぽんと入れる(あるいは据え付ける)だけで、ジャグジーのような泡風呂になる。そんな温浴器「バブルスター」の人気に火がついたのは1986年のこと。疲労回復に効果があり、神経痛、リウマチ、はては痔にも効くとうたった温浴器は派手な宣伝もあって大ヒットする。 CMの費用は毎月2億。松方弘樹や梅宮辰夫、千葉真一といった銀幕のスターが毎日、「バブルスター!」と連呼した。 その原氏が、温浴器を考案したのは、鳥取県・三朝温泉で養生していたときだという。早稲田大学在学中に学徒出陣、一命を取り留めて帰国後、這うように辿りついた