ホワイトハウス周辺で抗議運動する男性。フロイドさんの事件を受け、連日ホワイトハウス周辺で抗議デモが行われた=ワシントン、ランハム裕子撮影、2020年6月6日 今から20数年前、私が米国に移住し間もない時のこと。通勤中、誤って右折車線から直進すると、突然けたたましいサイレンが鳴り、赤と青の激しい光を放つパトカーが背後についた。免許を渡すと、警官は身元確認のためパトカーに戻り、そのまま15分が経過した。仕事に遅刻すると焦った私は車を降りてパトカーへ行き、「まだですか?」と窓越しに尋ねる。すると警官は血相を変え、「車内へ戻れ!」と大声で叫んだ。過剰反応に見えるこの対応が理解できず、滑稽にさえ思えた。その夜、友人らに朝の出来事を話すと、皆口を揃えてこう言った。「撃たれなくてよかった」。そのうち一人は「あなたが黒人男性だったら、今もうここにいないはずだ」と続けた。背筋がぞっとした。 ホワイトハウスの