大学生の頃いきなりヨーロッパからデビューし、自ら操る機械の発する複雑なトーンだけで世界をあっと驚かせたKEN ISHII。デビューから四半世紀以上を駆け抜け、プロデューサーとしてだけでなく、言葉も文化もまったく異なる地球上のあらゆる場所に赴いて見知らぬ何千何万の人たちを熱狂させるDJとしての人気も不動のものとした。そんな彼が13年ぶりに自らの名前で発表した新作アルバム『Möbius Strip』は、自分が現在できることをすべて出し切ったと断言する、さまざまな要素が入り交じった力作だ。中でも、彼が多大なるリスペクトを表明し、偉大な先輩として長年密かに共作の機会をうかがっていたという孤高のテクノアーティスト、ジェフ・ミルズと一緒に作った2曲はひときわ輝いている。 かなり久しぶりにレコードを使った原点回帰的なDJを披露するというパーティーでジェフが来日し、その晩のサポート役として抜擢されたKEN