同じ対象でも見える世界が違う 読書とは、あくまでも個人的な行為である。これを読みなさいと押し付けるべきものではないし、押し付けられても迷惑な話だ。 だが、これは絶対に読んでおいたほうがいいと、無理にでも人に薦めたくなる本に、まれにだが出会うこともある。それに該当する本が、これまでの私の読書歴の中で3冊だけあった。 コンラート・ローレンツの『ソロモンの指環』と、デズモンド・モリスの『裸のサル』、そして、リチャード・ドーキンスの『利己的な遺伝子』である。この三冊に共通しているのは、その根底に「人間とは何なのか?」という問いかけがあることだ。 さて、そのように無理にでも薦めたくなる本がもう一冊、最近になって見つかった。それが『サピエンス全史』だ。 巷で話題になっている本なので、いまさらここで紹介する必要もないくらいなのだが、この本は読んで損がない、というより、今の時代、読んでおかないとまずいので