森山大道『通過者の視線』(月曜社)を読む。森山はストリート・スナップのカメラマン。すでに120冊以上の写真集を出版し、美術館での写真展も、ロンドンのテート・モダンやパリのカルティエ現代美術財団、サンフランシスコ近代美術館をはじめとするアメリカ各地の美術館やスイスの美術館など、国内でも東京都写真美術館や東京オペラシティ・アートギャラリーなど枚挙にいとまないほど各地で開催されている。現在も品川のキャノンSタワーと渋谷区神宮前のAMで写真展が開かれているようだ。 本書は森山の写真も少し挿入されているが、いろんな機会に書かれたエッセイをまとめたもの。ほとんど写真に関連した文章が集められている。自伝的なものや写真集出版に関連して書かれたもの、先輩や仲間の写真家について書かれたものなどだが、深瀬昌久や中平卓馬、東松照明、井上青龍などを語っているのが良い。 中では「面影記」と題されたエッセイが出色の出来