先週、ロシアのエカテリンブルクで開かれたBRICs (ブラジル、ロシア、インド、中国)首脳会議の初会合は、中身よりもレトリックが多いまま閉幕した。 ロシアのドミトリー・メドベージェフ大統領はこの会議を「世界の政治の中心地」と呼んだが、本質的に立場の異なる4者会議が、経済問題を話し合う場として主要先進8カ国首脳会議(G8)に太刀打ちできなかったことは明らかだ。 BRICs諸国がいかに本質的に異なるのかを理解すれば、これは何ら驚くに当たらない。 ロシアとブラジルはコモディティー(商品)の輸出大国であり、逆に中国はコモディティーの輸入大国である。また中国は多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)の支持者であり、インドは懐疑論者だ。そしてインドと中国はインド洋における覇権争いで睨み合っており、ロシアと中国は中央アジアで対立している。 むしろ本当に驚くべきことは、そもそもゴールドマン・サックスのチ
原英次郎(ジャーナリスト) 【第8回】 2009年06月19日 専門家5人の白熱討論を完全リポート! 世界危機を招いた「バブルの正体」とは (第1回)行動経済学的アプローチで解明する「バブルの発生と崩壊」 バブルはなぜ発生するのか――。金融バブルの崩壊による世界的な経済不安が和らぎつつある今、その再検証が盛り上がっている。投資家のマインドが複雑に影響し合い、加熱状態をコントロールできなくなる「得体の知れない経済状態」がバブルだとすれば、それはいったいどのようなメカニズムで生まれ、そして消えて行くのか? 5月下旬に行動経済学会が開催した「行動経済学フォーラム」には、日本を代表する経済の専門家が集まり、白熱した議論が行なわれた。第1回目のリポートでは、ダイヤモンド・オンラインの人気連載「今週のキーワード」筆者でもある真壁昭夫氏(信州大学経済学部教授)を司会進行役に、柴崎健氏(みずほ証券金融
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 今回の対談を終えてから1つの歴史的な出来事を思い出した。かつて1930年代の大恐慌が最も深刻化した32年の出来事で、その年、アメリカのフーバー大統領が大増税を実施したのだ。前年の31年に比べ、GDP(国内総生産)が2割以上も落ちるという惨状で実施されたこの政策は悪名が高い。 なぜ、経済について抜群の理解を持っていたフーバー大統領がそれを行ったのか。彼は合衆国の財政状況の悪化を嫌って、海外への資本逃避が起こることを怖れたのである。前年、オーストリアの巨大銀行(クレディート・アンシュタルト)の破綻に際し、その救済のためにオーストリア政府が通貨を増発させ、それが深刻な資本逃避を呼んで以来、先進国全体に資本逃避の波が押し寄せていた。それを配慮してのフ
(2009年6月15日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 先週、景気回復の新芽が萎れた。韓国、中国、ドイツでは、輸出が再び大きく減少した。米国では、米連邦準備理事会(FRB)が公表したベージュブック(地区連銀景況報告)が「4月半ばから5月にかけて、経済は弱い状態が続くか、一段と悪化した」と述べていた。 3月に見えた復調のサインは結局、テクニカルな在庫調整以上のものではなく、根底にあるトレンドには変わりがないことが分かった。世界経済は、今年初めほど急激ではないかもしれないが、今も縮小し続けているのである。 工業生産の落ち込みは1930年当時と同じ エコノミストのバリー・アイケングリーン、ケヴィン・オルーク両氏の分析が示しているように、世界の工業生産の落ち込みは今も、1930年当時と同じ軌道を描いている。 唯一の問題は、我々は1931年と1932年の再来を避けられるかどうか、だ。
(英エコノミスト誌 2009年6月13日号) 先進諸国の財政難に取り組む正しい方法と間違った方法とは。 1930年以来最悪となった世界経済の嵐は、収束に向かい始めたかもしれない。しかし、財政の地平線には既に、別の暗雲が垂れ込め始めている。巨大な公的債務である。 景気後退によって税収が減り、企業の救済や失業手当て、景気刺激策のための支出がかさむ中で、先進諸国の政府は膨大な借り入れを行っている。 国際通貨基金(IMF)のエコノミストたちが最近行った試算によると、2007年にGDP(国内総生産)の78%だった先進10カ国の公的債務は、2014年までに114%に拡大する見通しだ。これら10カ国の政府は、国民1人当たり約5万ドルの債務を抱える計算である。 第2次世界大戦以降、これほど多くの政府がこれほど急激にこれほど多額の借り入れをした例はないし、公的債務の総額がこれほど膨れ上がったことも
for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up [レッチェ(イタリア) 13日 ロイター] 12―13日に伊レッチェで主要8カ国(G8)財務相会合が開催された。以下は主な要人発言。 ◎ガイトナー米財務長官: 「主要国が景気刺激策を解消し始めるのは時期尚早だが、将来的な財政の持続可能性を確保するために、政府は計画立案を開始すべき」 「G8とG20(主要20カ国)の間では、成長が依然、政策の重点であるべきだ。政府は引き続き、最近改善している需要を下支え、「耐久性のある回復」への基礎を作る必要がある」 「政策シフトは早い」 「経済の嵐が過ぎた際に、持続可能な財政にどのように戻るのか、今の段階で明確な計画を立てれば、経済と金融の回復はより力強く、持続的なものにな
昨年度の終わり、金融危機のクライマックスの頃だったか、銀行救済に自動車にデフレ防止にお札を刷りまくる政府を見て、次は狂乱のインフレ時代が来ると言う人がぼちぼちと存在した覚えがある。僕も言われるまでもなくそんな直感がしていたし、投資銀行コミュニティの中でもインフレ来る説を唱える人が居た。次は商品が来る。足元コモディティプライスが上がりだしているのはインフレの予兆だ。とか言っていて、そうかもね、と思ったものだ。 しかし年度が明けて暫く考えてみて、僕はやっぱりインフレは来ないと思い出している。確かにコモディティプライスは回復基調にあって、僕も相場やろうかなと思ったくらいだが、これは下がりすぎた実需の回復を先取った正常な相場の流れでは無いかと思う。GMは破綻して、政府はまた600億ドルも突っ込む様だが、それでも世のマネーサプライを動かす程では無い。確かに米国のマネーサプライは増えていて、 M2 (
Feci, quod potui, faciant meliora potentes. 我は全力を尽くした。もっと上手くやれると思う者は勝手にやるが良い。 Now the threat posed by the rise in government debt is getting increasing attention from investors and traders. 今、政府の借り入れ増加による脅威は、投資家とトレーダーの注目を益々集めつつある。 “It’s a gigantic issue,” said Kenneth Rogoff, a Harvard professor and the co-author of a forthcoming book, “This Time is Different: Eight Centuries of Financial Folly.
1955年東京都生まれ。1979年東京大学経済学部卒業,三菱総合研究所入社。1989年米Harvard Business Schoolで博士号取得,1990年東京大学経済学部に助教授。1998年東京大学大学院経済学研究科教授。2004年東京大学ものづくり経営研究センター長。『日本のもの造り哲学』(日本経済新聞社)など著書多数。(写真:栗原克己) 製品アーキテクチャの議論で,よく「日本は擦り合わせに強い」と端折(はしょ)って言う人がいますが,これだけを聞いて誤解する人が多いんです。「日本人には擦り合わせのDNAがあるから,擦り合わせていれば勝てる」とかね。そうではなくて,僕が言っているのは組織能力の構築論なんです。例えばトヨタ自動車がパソコンを造っても米Dell社に勝てるわけじゃない。逆にDell社が自動車を造ってもトヨタに勝てないでしょう。つまり,調整能力を育ててきた組織は擦り合わせの多い
(英エコノミスト誌 2009年5月16日号) アジア経済は、世界的な景気後退からいち早く抜け出しそうだ。 「アジアの虎」と呼ばれる新興国経済は今回の世界的な景気後退局面で、かなり急激な生産縮小に苦しめられている。その輸出依存体質がゆえに、米国と欧州の需要が回復するまでは持続的な回復を見ることはないと心配する向きもある。 しかし、アジアの勇猛な回復力を侮るべきではない。1990年代後半のアジア危機の後、アジア経済は予想外の早さで活力を取り戻した。そして今、再び世界を驚かすかもしれない。 足元の不況は深刻だが・・・ アジア全域において、今回の不況は1998年と同じくらい深刻だ。中国とインドは成長を続けているが、両国を除くアジア新興国経済は2008年第4四半期にGDP(国内総生産) が年率換算で15%も縮小した。 2009年第1四半期のGDP統計を既に公表した国は以下の3カ国のみ。中国
以前、今回の危機を日本のみならず世界はマドルスルーしていくしかないのではないか、と書いたことがあったが、ひさまつさんがミクロではマドルスルーは良いが、マクロではまずいのではないか、と書かれている。氏がそこで触れているスティグリッツとクルーグマンの論説では、それぞれ以下のようにマドルスルー戦略を批判している*1。 (スティグリッツ) ...rather than welcoming the opportunity to recapitalize, perhaps with government help, the banks seem to prefer a Japanese-style response: we will muddle through. “Zombie” banks – dead but still walking among the living – are, in Ed
(2009年5月14日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) ティモシー・ガイトナー氏にとって、それは「前例のない」明瞭さをもたらしてくれた。ペール・シュタインブルック氏にとって、それは「役に立たない」ものである。 銀行のストレステスト(健全性審査)の有効性に対する米国財務長官とドイツ財務相の驚くほど対照的な見解は、積極的な米国と慎重な欧州との政策の違いを浮き彫りにするようになった、もう1つの「金星人と火星人*1」の局面を生んでいる。今回の違いは金融危機にいかに対処するかについて、だ。 実際、2年近く前に信用危機が始まってから、大西洋を挟んだ欧米双方で、バンカーや政策立案者たちは何かと言えばすぐに対岸の相手方を非難してきた。 米国の投資銀行が有毒な債務証書で多額の損失を発表した時には、経営幹部らはすぐさま、欧州の投資銀行はまだ同じ痛みを味わっていないと指摘した。そして昨年、米リーマン・
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 中国人民銀行の周小川総裁の論文「国際通貨体制の改革」(2009年3月23日)が、その意図を含めて様々な波紋を起こしたことはご存じの方も多いであろう。 昨年の秋以降、「米ドルはもはや基軸通貨ではない」とかフランスのニコラ・サルコジ大統領が口走ってきたが、あまり実体のない政治的な発言とおおむね受け止められていた。ところが、周総裁の演説は1歩進んで「SDRの利用の拡大」という国際金融制度に関する改革を提案している。 (注)SDRとは、Special Drawing Rightsの略で、国際通貨基金(IMF)の準備資産として創設された特別引き出し権のことである 筆者には周演説は奇妙な主張に見える。周演説によると、特定国の通貨が国際的な準備通貨としての
On Off and Beyond: 海外で勉強して働こう 「日本はもう立ち直れないと思う」というこのエントリが、はてなブックマークで大きな話題になっているのだけど、これは、言語と経済と政治と文化と生活と安全保証の国境が全部同じである「日本」という単位が消えるという意味ではないかと思う。そして、そういう全部ワンセットの「日本」というものに頼っていると、あとで困るよという話。私はそう受け止めた。 たとえば、このエントリは日本生まれで海外在住の人が日本語で書いている。「日本」と日本語のWebの世界はもう随分違っていて、海外在住の日本人の書くブログも渡辺千賀さんや梅田さんだけじゃなくて、他にもたくさんある。逆に、外国生まれで日本に住んでいる人が書いているブログもいっぱいある。 日本語圏は世界中に広がっているけど、隣近所が全員日本語を話し日本企業に勤めていて友達が全部日本人である「日本」は縮まって
⇒途上国が貧しいのは先進国が搾取しているからではないし、貧乏人が貧しいのも金持ちが搾取しているわけではない : 金融日記 ⇒はてなブックマーク - 途上国が貧しいのは先進国が搾取しているからではないし、貧乏人が貧しいのも金持ちが搾取しているわけではない : 金融日記 ⇒はてなブックマーク - これはけっこう難しい問題なんじゃないかな - finalventの日記 「こういうとき何をどこからどう突っ込んだらいいかわからないの」と発端の記事を一読して思ったが、論証はともかくとして趣旨は了解できる。私の理解では、グローバルな市場経済と国家による再配分はワンセット、と藤沢数希氏は言っている。そして、国家の機能と経済活動はレイヤーが違う、とも。共に人々の幸福のため車の両輪として欠くべからざるものであり、しかし国家による再配分の機能不全をグローバル経済に徒に帰責するべきでない、と。 「貧しい国々は世界
英国は再び経済の病人になったのだろうか? それとも、アリステア・ダーリング財務相が22日の予算演説で述べた通り、英国は大きな打撃を受けた高所得国の1つに過ぎないのだろうか? これらの疑問に対する答えは、イエス、そしてイエスだ。答えが曖昧なのは、英国の財政の悪化は異常だが、経済の悪化はそうではないからだ。 まず、経済から始めよう。 国際通貨基金(IMF)の最新の「世界経済見通し」によると、英国経済は今年4.1%縮小し、来年さらに0.4%縮小する見込みだという。強調すべきは、これは2009年に3.5%の縮小、2010年に1.25%の成長を見込む英財務省の予想よりはるかに悪い数字だということだ。 経済の悪化はほかの先進国並みなのに・・・ IMFは、他の先進国については、次のような見通しを示している。 先進国全体では2009年が3.8%のマイナス成長、2010年がゼロ成長となる。米国は
(2009年4月23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) つい先日、マーケティング担当役員のジョアンナ・セドンさんは、今は亡きフランス人デザイナー、「ルイ・フェロー」ブランドのスーツのボタンを失くし、それを取り替えてもらうためにニューヨークやロンドンの店を探した。 市場調査会社ミルワード・ブラウンの副社長を務めるセドンさんは、ついてなかった。マディソン街にあった、ルイ・フェローのニューヨーク店は閉鎖されており、彼女は結局、フェローが11店舗を展開する中国に問い合わせなければならなかった。 ホームドラマの「ダラス」や「ダイナスティ」によって1980年代に米国で人気を博したブランドは、アジアに行ってしまっていたのだ。 ポルシェの新モデルに見る中国の影響 ルイ・フェローが米国から中国に「移転」したのは珍しい話ではあるが、最近ではこうした動きが増えつつある。それに従い、大半のグローバルな
(2009年4月22日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 春が来て、政策立案者たちは「若芽」を見つけている。バラク・オバマ米大統領の経済顧問を務めるローレンス・サマーズ氏は、米経済が「底なしに落ちていく感覚」は2~3カ月内に終わるはずだと言う。大統領自身、「かすかな希望の光」を見いだしている。 米連邦準備理事会(FRB)のベン・バーナンキ議長は先週、「最近、住宅販売や住宅着工、新車販売を含む消費支出の統計などに、経済活動の急減速が鈍っている兆候が幾分見られる」と述べた。 景気の好転はまだ確信できない 我々は最悪期を脱したのだろうか? 一言で言えば、ノーだ。 景気下降のペースは鈍っている。だが、経済が急成長に戻ることはおろか、景気の好転さえ確信するのはまだ早い。そして、それよりもっと望み薄なのは過剰設備の廃棄であり、何にも増して遠い先のことに思われるのが、デレバレッジング(負債圧縮
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