BHPビリトン炭鉱の露天掘り現場。世界的な石炭需要の高まりに供給が追いつかない状況にある(豪クイーンズランド州) 国内鉄鋼大手と海外資源メジャーによる平成20年度の鉄鋼原料価格交渉は、史上最高値の水準で合意した。鉄鋼業界全体のコスト増は3兆円を上回り、大幅な値上げは避けられない情勢だ。これに伴い、鋼板の大口ユーザーである自動車や家電メーカーも値上げを余儀なくされる可能性が出ている。国内鉄鋼業界は34年ぶりに生産量記録を更新したが、この需要増を導いた新興国の成長が世界的な資源争奪戦を招いている。(経済本部 滝川麻衣子) 日本が輸入する鉄鋼原料の価格交渉をめぐっては、鉄鉱石が資源メジャー、ブラジルのヴァーレ(旧リオドセ)と1トン当たり前年度比65%増の80ドルで決まったほか、石炭は英豪BHPビリトンと同3倍となる1トン当たり300ドルで妥結した。この大幅値上げによる鉄鋼業界のコスト増は過去5年