2008年10月22日付の日本経済新聞夕刊には「妊婦7カ所断られ死亡」と,妊婦が救急医療を受けられず出産後に死亡した事実が報じられています。また,同月23日付の同紙朝刊では小児科医が「自殺したのは過重労働によるうつ病が原因と東京高裁が認定」という内容の記事が掲載されています。それぞれ深い問題がありそうですが,私はこられの報道を読んで,最近読み返した『東大のがん治療医が癌になって』(ロハスメディア)を思い出しました。 この本は,東京大学医学部を卒業後,同大学附属病院放射線科に勤めていた医師が34歳の若さでがんにかかり,今度は患者の立場で同病院に入院して,成功裏に手術を終えて退院するまでを記した,いわば闘病記です。私は以前に健康誌の編集部にいたこともあって,こうした一般向けの医学分野の本を結構読むのですが,がんの早期か進行期かを調べる検査を受ける際の緊張感や恐怖感が冷静にしかも正直に書かれてい