徳島県特産の柑橘(かんきつ)・スダチが、天皇代替わりの儀式・大嘗祭(だいじょうさい)の献上品だったとみられることが分かった。大麻比古神社(鳴門市)に伝わる江戸時代の古文書にその記述があり、10世紀の法令集「延喜式(えんぎしき)」にある「橘子(タチバナ)」という言葉をもとに「スダチ献上」に触れている。須藤茂樹・四国大学専任講師(日本文化史)は「少なくとも江戸時代には、大麻比古神社では橘子をスダチとし、大嘗祭に阿波から献上されたと認識していたことは間違いなく、非常に興味深い」と話している。 スダチ献上に触れた記述は、大麻比古神社が1955年に編集・発行した「大麻比古神社祭神考証」の付録「大麻山舊跡(きゅうせき)秘録」に収められていた。寛政5(1793)年の日付で「すだち 柚ニ似て柚よりちいさき者」「すだちと申ハ橘之種類」などの表記に続いて、「延喜式大嘗会之部ニ阿波國より橘子十五篭奉ると相見」