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ブックマーク / sakstyle.hatenadiary.jp (35)

  • 井奥陽子『近代美学入門』 - logical cypher scape2

    タイトル通り、近代の美学についての入門書なのだが、とても良いだった。 「芸術」「芸術家」「美」「崇高」「ピクチャレスク」という概念ごとに章立てした5章構成のとなっているが、これらの概念は全て近代に成立した概念である。 「崇高」と「ピクチャレスク」はあまり一般的には馴染みのない言葉だろうが、「芸術」「芸術家」「美」といった、現在の我々にとってはわりとあって当たり前の概念が、歴史的にはそれほど古くない概念であることを示している。 常識だと思っていることを相対化して捉え直すことを目指していて、おおよそどの章も、古代ではどうだったか、近代でどのように成立していったのか、そして、現代的な論点についてどのように考えられるか、という構成をしている。 なので、確かに「近代の美学」についてのではあるのだが、美学一般の入門書という位置づけで読んでしまってよいと思う。 新書レベルの読みやすさ・分かりやすさ

    井奥陽子『近代美学入門』 - logical cypher scape2
  • 日大哲学WS「美的経験、再考!」 - logical cypher scape2

    金曜日に行われていたワークショップだが、自分は行くことができなかった。 しかし、提題者の方々がみな配布資料をアップしてくださっていたので、それらを読んだ。 いずれも、日常的なことと関わるようなことを検討していて、美学の面白さが出ていると思う。 こういうこと確かにあるよな、ということについて整理される感じの面白さ 森功次「美的選択:伝統的美学理論からの逸脱とその影響」 松永伸司「スノッブのなにが悪いのか」 青田麻未「観光者・居住者の疎外――環境美学における美的経験論再考」 高田敦史「美的価値と行為の理由」 2018/3/16(金)日大学、ワークショップ「美的経験、再考!」(要旨つき告知) - 昆虫亀 森功次「美的選択:伝統的美学理論からの逸脱とその影響」 Dropbox - 日大ワークショップ、美的選択、森功次.docx 近年、伝統的な美学理論に対して、日常生活についての美学というのが登場

    日大哲学WS「美的経験、再考!」 - logical cypher scape2
  • 井田茂『系外惑星と太陽系』 - logical cypher scape2

    TRAPPIST-1に7つの系外惑星が発見されたというニュースもあったばかり(TRAPPIST-1関連記事まとめ - logical cypher scape)で、非常にタイムリーな1冊 長沼毅と共著の長沼毅・井田茂『地球外生命 われわれは孤独か』 - logical cypher scapeとセットで読むとよいかも。 同じく井田さんのとしては、以前井田茂『系外惑星』 - logical cypher scapeも読んだことがある。 内容として重複するところもあるが、改めて広い視野から整理されていると思う。 全体のコンセプトとしては、「天空の科学」と「私の科学」を対比させながら、「太陽系中心主義」「地球中心主義」を相対化させていくものとなっている。 また、原始円盤の物質密度は一様でなかったのではないとか、小石集積モデルなど、これまでの標準理論の問題点を解決するための新しいアイデアの紹介

    井田茂『系外惑星と太陽系』 - logical cypher scape2
  • 海猫沢めろん『明日、機械がヒトになる ルポ最新科学』 - logical cypher scape2

    科学者7人へのインタビュー集。もとはcakesで連載していたのをまとめたもの。 人選もよいし、筆者(インタビュアー)側がどういう疑問をもって何故その人のところにいったのか、その人の話を聞いてどのように思ったかなどが書かれており、どうしてこの7人にこういうこと聞いているのかということが分かる。 もちろん、それぞれの章で扱われているテクノロジー自体も興味深いものだけど、それぞれの研究者がどういう「人間」観を持っているのか、どうしてこういう研究をしているのか、今後どうしたいのかなどについても書かれている。 個人的には、SRや3Dプリンタあたりは特に面白かった。あと、受動意識仮説の前野さんが、幸福学なんて始めてるの知らなかったので、そのあたりも。 というわけで、一般的にはよいではあると思う。 だがしかし、個人的にいうと、細かいところで色々と気になるところ、ひっかかってしまうところに度々ぶつかって

    海猫沢めろん『明日、機械がヒトになる ルポ最新科学』 - logical cypher scape2
  • 『現代思想 2015年12月号』(特集:人工知能) - logical cypher scape2

    東ロボくんから見えてきた、社会と人類の未来 / 新井紀子+小島寛之 東ロボくんの話が半分と、AIの発展による社会(労働)への影響の話が半分くらい 東ロボくんプロジェクトを始めた動機として、始めた時はまだ今のようなAIブーム到来前だったので、一つには、人工知能について政治家や官僚にも分かりやすくその力を訴えることのできるものとして、もう一つとしては、その逆に、AIブームは必ずくると思っていたのでその時に過度に何でもできると思われないために。0か1かに振れやすいけれど、何が出来て何が出来ないのかイメージしやすいように、と。 東ロボくんが今年どんなだったかはnix in desertis:「ロボットは東大に入れるか」成果報告会 in 2015(11/14)レポートに詳しいが、 この対談では、やはり今年の注目である世界史、そして国語と数学、物理について新井さんが説明している。 これに対して小島さん

    『現代思想 2015年12月号』(特集:人工知能) - logical cypher scape2
  • 縣秀彦『地球外生命体』 - logical cypher scape2

    天文学者によるアストロバイオロジーの入門書 アストロバイオロジー関係は新書でも結構出ていて、これまで読んだは例えば以下の通り。 松井孝典『生命はどこから来たのか? アストロバイオロジー入門』とアストロバイオロジー系のの紹介 - logical cypher scape 長沼毅・井田茂『地球外生命 われわれは孤独か』 - logical cypher scape 書いている内容的には、まあわりと重なり合うとは思うけど、これまで読んだのはどちらかといえば生物学寄りのを読んでいたので、今回天文学側からだったので 今回は、全体ではなく、気になった部分だけひろってく感じで 序章 宇宙生命への遙かな想い ドレイク方程式自体は有名だけど、ドレイクが具体的にどういう数値を入れていたのかまで知らなかった。ドレイクの推定では、今現在通信可能な文明の数は10らしい。 文明の存続期間Lは1万年という仮定 最初

    縣秀彦『地球外生命体』 - logical cypher scape2
  • 倉谷滋『形態学 形づくりにみる動物進化のシナリオ』 - logical cypher scape2

    形態学から進化発生生物学(エヴォデヴォ)へ至る流れを、動物の起源は何かという問いから辿る 文豪ゲーテの形態学から始まって21世紀のエヴォデヴォまで、全ての動物に共通の型/遺伝子/祖先は何かという探究 とても面白かったけど、難しかった エヴォデヴォって何ぞやというのは何年も前から気になっていたのだけど、結局何のも読んできてこなくて、新書でエヴォデヴォのが出たということを聞いて手に取った。 このサイエンス・パレットシリーズって、Short Introdcutionシリーズの翻訳出してるレーベルだけれど、これは翻訳ではなく日人研究者による著作 たまたま、更科功『化石の分子生物学』 - logical cypher scapeと連続して読んだが、関連している項目もいくつかあった。例えば、どちらもまえがきで天使に言及している。 今まで、進化論や古生物学、分子生物学の新書などは読んでいたが、発

  • レフ・マノヴィッチ『ニューメディアの言語』 - logical cypher scape2

    ニューメディアとは、CG合成の映画やコンピュータゲーム、web、メディアアートなど、コンピュータを使ったメディア(作品)の総称で、そうしたものについての美学理論入門*1 ニューメディアと(オールドメディアである)映画との連続性を検討している感じの。 アニメーションが映画の一種なのではなく、映画がアニメーションの一種、みたいなこと言ったので有名なでもある。 2001年のアメリカなので、出てくる例は分からないものも多いし(具体的にはゲームが。CD-ROM5枚組のアドベンチャーとかFPSとかが出てくる)、また古いところもあるのだけど、書かれている内容としては分かりやすいし古びてもいない。もちろん、そういう2014年の日人に分かりにくい例だけでなく、有名なハリウッド映画や、もっと日常的な例(Wordとか)も出てくる*2。コンピュータによる映像全般を扱ったもの、と考えてもいいかもしれない。

    レフ・マノヴィッチ『ニューメディアの言語』 - logical cypher scape2
  • 鈴木雅雄編著『マンガを「見る」という体験』 - logical cypher scape2

    サブタイトルは、「フレーム、キャラクター、モダン・アート」 去年の6月から12月にかけて開催された三回連続のWS「マンガ的視覚体験をめぐって――フレーム、フィギュール、シュルレアリスム――」をもとにした論集。 参考:伊藤剛・鈴木雅雄「マンガ的時間、シュルレアリスム的時間」感想ツイート - Togetter マンガとシュルレアリスム美術を比較しながら、論じられたもので、非常に刺激的で面白かった。 第1部 マンガの時間、絵画の時間 消える男/帰ってくる男――マンガから見た絵画・シュルレアリスム 伊藤剛 瞬間は存在しない――マンガ的時間への問い 鈴木雅雄 第2部 マンガのコマ、絵画のフレーム マンガにおけるフレームの複数性と同時性について――コマと時間をめぐる試論(一) 野田謙介 分裂するフレーム――シュルレアリスム〈と〉マンガ 齋藤哲也 第3部 マンガをめぐる言説、美術をめぐる言説 マンガと美

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  • 佐藤翔「ビジビリティの王国――人文社会系学術雑誌という秘境」『DHjpNo.4 オープンアクセスの時代』 - logical cypher scape2

    友人のmin2-flyこと佐藤翔の論文 8/12に発売された勉誠出版のムック、『DHjp No.4 オープンアクセスの時代』に、「ビジビリティの王国、人文社会系学術雑誌という秘境」と題して、人文社会系のオープンアクセスに関する話を寄稿しました! (たしか)「初めてAmazonで買えるに原稿が載った!』・・・と喜んでいたのです 「人文社会系の学協会誌はほとんど秘境。紀要に載った方がネット上では目立つくらい」(【宣伝】『DHjp No.4 オープンアクセスの時代』に寄稿しました!) - かたつむりは電子図書館の夢をみるか ということだったので、早速ポチった奴です そもそもDHって何よってレベルでこののこともここで書かれている分野のこともよく知らないけれども、みんつーの奴と他いくつかを読んだ ちなみにDHっていうのは、Digital Humanitiesの略らしい。 で、特集が「オープンアク

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  • デイビッド・ノーマン『恐竜――化石記録が示す事実と謎』(冨田幸光監訳) - logical cypher scape2

    イグアノドン専門家による骨太な恐竜の入門書 丸善の「サイレンスパレット」というレーベルから出ている新書 こちら、オックスフォードのVery Short Introductionの翻訳 Very Short Introductionの翻訳というと、岩波から「1冊でわかる」シリーズというものが出ているが*1、そちらが人文系であるのに対して、こちらのサイエンスパレットは自然科学系のラインナップになっている。 Very Short Introductionに自然科学系のものもあるのは知っていたけれど、やっぱり「1冊でわかる」のイメージが強いから、Very Short Introductionで恐竜あったの?! って感じで、思わず手に取ってしまった 内容は結構濃いけれど、さりとてマニアックにはなってない、よい入門書 恐竜研究が、学際的な科学研究であるということを示すスタンスになっている 筆者の専門で

    デイビッド・ノーマン『恐竜――化石記録が示す事実と謎』(冨田幸光監訳) - logical cypher scape2
  • 海野弘『魔女の世界史』 - logical cypher scape2

    近現代の「魔女」文化を巡る。具体的には、世紀末美術、新魔女運動(ネオペイガンなど)、ゴスの3つにスポットライトがあてられる。 帯やカラー口絵を見ると、まどマギ、きゃりーぱみゅぱみゅが取り上げられていて、現代のサブカルチャーについて論じているのように見えなくもないが、そちらの方への言及は少ないので、そっち方面を期待している人はがっかりしないように。 しかし、新魔女運動のくだりなどはあまりこういう形ではまとめられていないのではないかと思うので、現代の魔女についての読み物としてとても面白い。 ちなみにLoading...がこのを手に取ったきっかけ。 あ、そうそう、確かに「アンリ・ベルグソンの妹」という人への言及あったなあ 個人的には、世紀末美術や文化について書いているっぽかったのとか、新魔女運動とフェミニズム、ニューエイジといったことが書かれていることに興味があった。 子どもの頃に、『たく

    海野弘『魔女の世界史』 - logical cypher scape2
  • スティーヴン・ミズン『歌うネアンデルタール』 - logical cypher scape2

    認知考古学者ミズンによる、音楽と言語の起源に関する仮説についての。人類の祖先は、ミズンがHmmmmmと呼ぶコミュニケーション形式を用いていた。ネアンデルタール人は、Hmmmmmを高度に発達させたが、言語を獲得することはなかった。一方、ホモ・サピエンスはHmmmmmから言語を獲得し、また言語と分化したHmmmmmが音楽となっていたという仮説。 Hmmmmmは、Holistic, Manipulative, Multi-Modal, Musical, and Mimetic(全体的、操作的、多様式、音楽的、ミメーシス的)の略。初期人類が持っていたとされるコミュケーション方法の諸特徴。 書は、二部構成になっており、一部が現代、二部が過去を扱っている。 一部では主に心理学などの知見を用いながら、言語と音楽の類似点、相違点や音楽の特徴などを論じていく。 二部では霊長類学や考古学の観点から、霊長類

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  • 宮下誠『20世紀絵画』 - logical cypher scape2

    パウル・クレー研究などで知られる著者による、入門的な。 ところで、著者名でググって、09年に亡くなられていたことを知った。クラシック音楽についても造詣が深かったよう。 基的なフォーマットとしては、著者の選んだ20世紀の絵画作品それぞれについて、解説していくというものになっている。なので、別に美術史のというわけではないのだけど、しかし当然のことながら読み進めるうちに、筆者の美術史観が背景にしっかりとあることが分かり、20世紀美術史としても読める。 話の導入としては「具象絵画はわかるけど、抽象絵画はよくわからない」というよくある感想に対して、わかる抽象/わからない具象を示すのがこのである、ということになっている。 構成としても、前半が抽象絵画編、後半が具象絵画編となっている。 この前半と後半のあいだに、筆者がライプチヒで旧東ドイツの現代絵画を見た際の体験がエピソードとして挿入されている

  • 門脇俊介『フッサール』 - logical cypher scape2

    フッサールについては、元々あまりしっているわけではないが、これを読んでフッサールのイメージが変わったかもしれない*1。 というか、おそらく著者自身が、今まであまり言われてなかったフッサール像を出そうとしたのかな、と思う。 筆者は、フッサールには3つの側面があるという。(1)基礎付け主義者(2)生の哲学者(3)反自然主義者の3つであり、ここでは特に3番目の姿に着目する。 まず、最初に心の哲学の話から始まる。心の哲学について、クオリアに着目する立場と志向性に着目する立場のふたつに分類した上で、フッサールが心の哲学の反自然主義立場の出発点である志向性理論の推進者だったと述べる。 そして、20世紀に起こった表象主義の転換との関わりも見て取る。 人間が表象によって世界をあらわすとは一体どういうことなのか、というのが哲学において長く論じられたことだが、近代においては、心の中の観念(表象)と世界との関係

    門脇俊介『フッサール』 - logical cypher scape2
  • スティーブン・ピンカー『心の仕組み』 - logical cypher scape2

    ちくま学芸文庫になったのでそっちの方で読んだ。 心の科学についてまとまって読める。 すなわち、認知科学(心の演算理論)と進化生物学(自然淘汰による進化論)が合体した進化心理学による、心の説明である。 心は進化によってデザインされた演算装置であるというのを筋として、多くの研究を紹介している。だから、ピンカー自身の研究について書かれているというのではなく、心の科学に関する様々な分野の研究が次々と出てくる。もちろん、心理学が中心ではあるが、人類学などもよく出てくる。そういう意味で、教科書的なともいえる。 また、このはいわゆる「左翼」からの反論を想定していて、人間の心はタブラ・ラサで経験によって(社会や文化に相対的に)形成されるものだという考えへの反駁と、科学的判断と倫理的判断は分けて行うようにという注意を再三している。例えば、男性は女性に対してレイプなどの暴力をふるいやすい傾向があるというの

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  • 『言語哲学重要論文集』 - logical cypher scape2

    八木沢敬『意味・真理・存在 分析哲学入門中級編』 - logical cypher scapeを読んだ勢いで読んだ 八木沢を先に読んでてよかった。 第一部 言語哲学の誕生 フレーゲ「意義と意味について」(野和幸訳) 言わずとしれた超有名論文。1892年。 改めて、フレーゲは色々なこといってて面白い、というかすごいなーと思った。 (「明けの明星」と「宵の明星」など) ラッセル「表示について」(松坂陽一訳) 言わずと知れた2。1905年。 一番最後に、他人の心や物理学における粒子は、表示句によってのみ知られる存在者で、直接見知っている存在者と区別されるというような話をちらっとしてた。 (「現在のフランス国王は禿である」など) 第二部 指示をめぐる謎 ドネラン「指示と確定記述」(荒磯敏文訳) 1966年。 確定記述には、指示的用法と帰属的用法がある。 指示的用法があることの指摘は、ストローソ

    『言語哲学重要論文集』 - logical cypher scape2
  • 音楽の哲学シンポジウム - logical cypher scape2

    この三連休のあいだ行われている応用哲学会の1日目において開かれた、音楽の哲学シンポジウムに行ってきた。 哲学者、美学者に加えて、フルート奏者と作曲家を交えた、哲学のシンポジウムとしては異例のメンツによるちょっと実験的な企画であった。 最初はそもそもこの4人話があうのか的な空気もあったのだが、終わってみればとても刺激的な会であった。 以下、自分のノートより。 色々省略しているところもあり、正確な再現ではない。 提題 最初は、今井晋による音楽の哲学と音楽の存在論についての簡単な紹介 音楽の哲学は、「ここ数十年の分析美学でもっとも発達した領域」であり、日常的な経験と哲学的な問題が切り結ぶのが特徴的とされる。 様々な論点があるが、その中でもここでは音楽の存在論についてピックアップ 音楽に対して抱く直観と形而上学における存在論的カテゴリーとのバランスをとることが目される フローチャートを用いて、様々

    音楽の哲学シンポジウム - logical cypher scape2
  • 『ウィトゲンシュタイン』 - logical cypher scape2

    KAWADE道の手帖シリーズ。 鬼界彰夫、永井均、飯田隆、岡賢吾による「レクチャー」、野家啓一のエッセイ、戸田山和久、大家雄裕、田中久美子、小山明、前田泰樹、山田啓一による論考、著作解題、さらに、大森荘蔵、藤隆志、坂井秀寿、奥雅博がかつて書いた文章も「日のウィトゲンシュタイン受容史」として掲載されている。 以下、おもしろかったものをいくつかピックアップ 永井「たまたまの孤独」 「私」とか「今」とか「神」とかの話は、まあいつもの永井均だと思う(1冊くらいしか読んでないので断言はできないが) で、言語ゲームが「たまたまの孤独」であるというあたりがよかった。『ウィトゲンシュタインはこう考えた』を読んだ時、数を数え上げるところの話を読んで、これが「他者」って奴かーとか思ったことがあって、それと重なった。そこにグルーのパラドックスを絡めてるのも面白かった。 言語ゲームっていうのは、単なる偶然性

    『ウィトゲンシュタイン』 - logical cypher scape2
  • 鬼界彰夫『生き方と哲学』 - logical cypher scape2

    「生き方」を考えるとはどういうことかを考える。 その一方で、「プラトニズム」批判も展開されているであり、まさに「生き方」と「哲学」のになっている。 ウィトゲンシュタイン研究で知られる筆者だが、こので前面に出てきているのは実はアリストテレスとキルケゴールである。 だが、「プラトニズム」批判となっている分析のあたりは、後期ウィトゲンシュタイン的である。 ところで、実は、というほどのことでもないのだが、僕は学生時代に鬼界先生に教わっていたことがあり、 出来の悪い教え子ではあったけれども、読みながら鬼界先生からの講義を思い出したりしていた。 例えば、このではレイモンド・チャンドラーが何度か引用されているけれど、僕はちょうど飲み会で先生がチャンドラーについて熱く語っていたところに居合わせたことがあったりするw 書は基的には、 アリストテレスの「キネーシス」と「エネルゲイア」の区別を重視

    鬼界彰夫『生き方と哲学』 - logical cypher scape2