虚実入り混じるあらゆる情報がグローバルかつ瞬時に駆け回るメディアに、私たちの日常は支配されている。しかし、そこに表れるイメージや記号は歴史の積み重ねの上に成り立っている。それらをいかに読み解けるかで、受け取る情報の解像度は大きく異なる。現代のデザイナーははたしてどれだけ自らが生産し、日々受け取っているイメージの内実を「理解」しているのだろうか? 今年、ロシアのウクライナ侵攻を受けて『戦争とデザイン』(左右社)を緊急出版した「デザインの歴史探偵」こと松田行正が、日々のニュースや映画の中に映りこんだデザインを読み解く。 バナー:1935年のハルビンの街頭に貼ってあったリシツキー・デザインのプロパガンダ雑誌『ヴェシチ』3号のポスター。 出典:映画『戦争と人間』第2部「愛と悲しみの山河」(日活、1971) ●アクションよりリアクション マーシャル・マクルーハンは『メディア論』の「テレビ」の項目で、