何を今さらと思われるかも知れないのだが、長い歴史のある書体についての考察を、去る2000年5月26日にtechセミナー「書体の世界」に行った。そこで再発見したことは、伝統的な書にもフォント制作にも通じる話は多く、書体の奥は非常に深いことや、まだ未踏のフロンティアもあることである。即物的に、どんな時にどんな書体を使えばよいか、と考えるだけでなく、さまざまな書体が作られてきた歴史に触れることで、書体の理解は深まるのだろう。 ここでは上記セミナーの最後に行なわれたディスカッションから抄録する。 発言は, 山本太郎(アドビシステムズ 日本語タイポグラフィマネジャー) 橋本和夫(イワタエンジニアリング 顧問 書体デザイナー) 有澤逸男(デザインラボAW 書家 書体デザイナー) の各氏と日本印刷技術協会 小笠原治である。 なお抄録にあたっては,発言をそのままではなく,内容を損なわない程度に言い回しなど