タグ

ブックマーク / natgeo.nikkeibp.co.jp (319)

  • チョウが大西洋を横断、おそらく初確認、全長7000kmの超長旅か

    西アフリカの国ベナンで、低木に留まって休むヒメアカタテハ(Vanessa cardui)。(PHOTOGRAPH BY GERARD TALAVERA) ヨーロッパで生まれたチョウが、西アフリカを経て南米まで7000キロを旅した可能性を示す研究結果が発表された。昆虫の渡りとしては最長クラスの記録となる。研究は6月25日付けで学術誌「Nature Communications」に発表された。 10年ほど前のある秋、論文の筆頭著者でナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー(探求者)のへラルド・タラベラ氏は、南米フランス領ギアナの海岸で「いるはずがない」ものを探していた。ヒメアカタテハ(Vanessa cardui)と呼ばれるチョウの仲間だ。 トラのような体色のヒメアカタテハは、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、北米、オーストラリアでよく見られる。南米には生息していないのだが、時折そこでヒメア

    チョウが大西洋を横断、おそらく初確認、全長7000kmの超長旅か
  • 古代エジプトのミイラに謎の民エトルリアの文字、衝撃の発見録

    「ザグレブの亜麻布の書」に記されたエトルリア文字。書はのちに細く裂かれ、エジプトのミイラを包むのに使われた。(COURTESY OF THE ARCHAEOLOGICAL MUSEUM OF ZAGREB, PHOTOGRAPH BY IGOR KRAJCAR) 1868年、クロアチア(当時はオーストリア・ハンガリー帝国の一部)のザグレブ博物館が、古代エジプトの女性のミイラを手に入れた。ミイラを包んでいた布は前の所有者によってほどかれていたが、ミイラと一緒に引き渡された。 ミイラになった女性は王族や聖職者ではなく、一般人だった。しかし、彼女を包んでいた亜麻布には、非常に興味深い謎があった。亜麻布に書かれていた文字が、エジプトの象形文字(ヒエログリフ)ではなかったのだ。文字の正体は、布を調べたドイツのエジプト学者ハインリッヒ・ブルクシュにもわからなかった。 23年後の1891年、博物館は、こ

    古代エジプトのミイラに謎の民エトルリアの文字、衝撃の発見録
  • 自分たちの言葉で伝える魂の歌、ペルー

    スピリチュアルなメロディーとアンデスの楽器をヒップホップのビートと融合させるハビエル・クルス。彼のラップネームであるサラ・クタイは「トウモロコシをひく」という意味だ。クルスは少年時代、両親を手伝い、穀物をひいていたという。(PHOTOGRAPH BY VICTOR ZEA DIAZ) ケチュア語を話す若いミュージシャンたちが、ヒップホップ音楽を自分たちの言語と文化を表現する手段に変えた。 それは2024年、ある晴れた1月の午後のことだった。ここは、ペルー南部のチチカカ湖畔近くにある都市フリアカ。1年前に政府の治安部隊に虐殺された18人のデモ参加者と見物人を追悼するため、先住民のケチュア族とアイマラ族の人々が何千人も広場に集まっていた。そのなかに、黒い上着、つばの広い黒い帽子、黒と金のブーツに身を包み、黒い馬にまたがった男性がいた。その姿は、スペイン帝国に対する反乱を指揮し、アンデス地方にお

    自分たちの言葉で伝える魂の歌、ペルー
  • 英国史最大級の謎、「ロンドン塔の王子たち」失踪事件で新発見

    ジョン・エベレット・ミレーによって1878年に描かれた「塔の中の王子たち」。英ロンドン大学ロイヤルホロウェイ校ピクチャーギャラリー所蔵。エドワード5世(1470~83年?)(右)と弟のヨーク公リチャードは、1483年にロンドン塔に幽閉された後、姿を消した。(PHOTOGRAPH BY ROYAL HOLLOWAY, UNIVERSITY OF LONDON, BRIDGEMAN IMAGES) 1483年の夏、イングランド王エドワード5世と弟のリチャードは、ロンドン塔に幽閉されたのを最後に、消息を絶った。それから何世紀もの間、叔父であるリチャード3世が2人を暗殺したのではないかと、確かな証拠もないまま言われてきた。 そこで調査に乗り出したのが、2012年に英国レスターの駐車場からリチャード3世の遺骨を発見したことで知られる歴史家のフィリッパ・ラングレー氏だ。映画『ロスト・キング 500年越

    英国史最大級の謎、「ロンドン塔の王子たち」失踪事件で新発見
  • 人気が高まるデカフェコーヒー、本当に健康にいいのか比べてみた

    コーヒーを飲むことは、2型糖尿病、認知症などの神経疾患、死亡のリスクの低下との関連が見つかっている。しかし、カフェインを取り除いたデカフェコーヒーでも同じ効果が期待できるのだろうか。(PHOTOGRAPH BY SAM ABELL, NAT GEO IMAGE COLLECTION) コーヒーは世界で最もポピュラーな飲みもののひとつだが、健康への懸念からカフェインを取り除いた「デカフェ(カフェインレス)コーヒー」を選ぶ人も増えている。全米コーヒー協会(NCA)の調査によると、米国では成人の約1割にあたる2600万人が定期的にデカフェを飲んでいるという。その理由は、血圧が気になる、遅い時間のカフェイン摂取を減らしたい、睡眠が妨げられるのを避けたい、カフェインに過敏な体質などさまざまだ。 選ぶ理由が何であれ、「デカフェの人気はますます高まっています」と、オーストラリア、クイーンズランド大学の教

    人気が高まるデカフェコーヒー、本当に健康にいいのか比べてみた
  • 「クジラ語」解読に光、「音声のイロハ」をついに発見、研究

    ドミニカ共和国近海を泳ぐマッコウクジラの親子。(PHOTOGRAPH BY AMANDA COTTON) マッコウクジラの「会話」がどれほど複雑であるかを明らかにする全く新しい方法が、5月7日付で学術誌「Nature Communications」に発表された。マッコウクジラの発するクリック音には、コーダと呼ばれる通常2秒以内の反復可能なパターンが少なくとも150あることが知られている。これまではコーダを一つひとつ分析していたが、追加の音やコーダとコーダの関連性、リズムやテンポなど新たな要素に着目したところ、「マッコウクジラの音声のイロハ(アルファベット)」を初めて明らかにした。クジラたちが何を話しているのかまではまだわからないが、この発見がそれを知る足がかりになる可能性がある。 「マッコウクジラのコミュニケーションシステムの基礎的な構成要素を理解するうえで、極めて重要な第一歩です」と、米

    「クジラ語」解読に光、「音声のイロハ」をついに発見、研究
  • 第158回 なぜヒトの睡眠は2種類あるのか

    私の大学では医学部の4年生に精神科の授業で睡眠について詳しく教えている。睡眠に関心のある学生から素朴な疑問をぶつけられることがあり、その代表とも言えるのが「なぜ睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があるのですか?」というものだ。 素朴な疑問とは言え、これは睡眠に関する質問の中でも難問中の難問で、誰も真の正解は知らない。同じ「睡眠」が付いているとは言え、この2つは全く別モノである。多くの睡眠研究者が信じているのは、レム睡眠とノンレム睡眠は長い進化の過程で形作られたもので、この2つの睡眠状態は進化の異なる時期に、異なる目的で出現したということだ。 地球上の全ての生物が共通祖先からその子孫へ枝分かれしながら進化したとする進化系統樹に沿ってさまざまな動物の睡眠状態を観察すると、系統的に古い順に昆虫、魚類、両生類、爬虫類くらいまではレム睡眠もしくはそれに類似した行動しか認められない。 レム睡眠に類似した行

    第158回 なぜヒトの睡眠は2種類あるのか
  • 実は希少ではないダイヤモンドが高価な宝石になるまで

    写真の「センテナリーダイヤモンド」は世界最大級の無傷のダイヤモンドで、原石の重さは599カラットもあった。デビアスが所有する南アフリカのプレミア鉱山(現在の名称はカリナン鉱山)で1986年に発見された。センテナリーとは百周年の意で、デビアス社100周年を記念して名づけられたもの。(PHOTOGRAPH BY PATRICK LANDMANN, GETTY IMAGES) 1960年、グラディス・バブソン・ハンナフォードは、米フロリダ州立大学で課外授業を行った。「ダイヤモンド・レディー」の名で知られる彼女は、ダイヤモンドの「専門家」としてダイヤモンドに関する「教育的」な講演を年間数百回も行っていたが、実は広告代理店に雇われた人物だった。彼女に与えられた使命は、野心的かつシンプルなもの。それは「米国の女性にダイヤモンドを欲しがらせること」だった。(参考記事:「約5億円で落札、謎のブラックダイヤ

    実は希少ではないダイヤモンドが高価な宝石になるまで
  • 京都の桜満開日、1200年分の記録は世界一、100年で2週間早く

    満開に咲き誇る京都の桜。毎年この時期、京都には桜を見るために世界中から観光客が訪れる。(Photograph by Rinko Kawauchi) 毎年桜が開花する時期になると、人の心をとりこにする美しい眺めとアーモンドのような香りに引き寄せられて、世界中から観光客が京都に押し寄せる。しかし昨今、桜が満開になる時期は1850年と比較して2週間近く早くなっていることが、2022年5月に学術誌「Environmental Research Letters」に発表された論文で示されている。 気候変動が花を咲かせる植物に与える影響を研究している科学者たちは、その最も重要な基準の一つとして、桜が咲く時期に注目している。「私たちは今、人類がこれまで経験したことのない急激な気候変動に直面しています」と、カナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学の准教授で、植物群落と気候変動を研究しているエリザベス・ウォルコ

    京都の桜満開日、1200年分の記録は世界一、100年で2週間早く
  • 221年ぶりに周期ゼミの2集団が同時に大量発生、江戸時代以来

    セミのなかには、毎年姿を現すものもあれば、一定の周期でしか姿を現さない「周期ゼミ」もいる。2024年の春は、米国の南東部から中西部で、周期ゼミの2つの大きな集団が同時発生する見込みだ。(PHOTOGRAPH BY REBECCA HALE, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 2024年の4月下旬から6月にかけて、米国の南東部から中西部で、200年の時を超えて大自然の交響曲が奏でられる。周期ゼミの2つの集団が221年ぶりに同時に姿を現しはじめるのだ。「今年はとても重要な年になるでしょう。神秘的で驚くべき出来事です」と、「虫博士」として知られる米ミズーリ大学のタマラ・リオール氏は言う。(参考記事:「17年ゼミの大発生始まる、動物たちの反応は?」) 221年ぶりなのは、2つの集団の周期がそれぞれ13年と17年だから。前回同時に姿を現したのは1803年のこと。米国大統領はトーマス

    221年ぶりに周期ゼミの2集団が同時に大量発生、江戸時代以来
  • 「アブラカダブラ」は誰が唱え始めて、どのように使われたのか

    13世紀の写。クイントゥス・セレヌス・サンモニクスによる古代ローマのマラリアの「治療法」が記述されており、ここでは文字を左側から1つずつ減らす方法で、逆三角形の中に小さな文字でABRACADABRA(アブラカダブラ)と書かれている。(PHOTOGRAPH BY BRITISH LIBRARY ARCHIVE, BRIDGEMAN IMAGES) 「アブラカダブラ」という言葉を聞くと、何か不思議なことが起きたと思うはずだ。変身かもしれないし、ちょっとしたトリックかもしれない。この言葉自体は奇妙だが、今や不可能とされることを示す普遍的なサインとなっている。アブラカダブラの正確な語源については、専門家の間でも意見が分かれているが、古い言葉であることは間違いない。 アブラカダブラが最初に登場するのは1800年以上前のクイントゥス・セレヌス・サンモニクスの著書で、発熱の特効薬と記されている。抗生剤

    「アブラカダブラ」は誰が唱え始めて、どのように使われたのか
  • 「うるう秒」とは何か、なぜ廃止が決まったのか? その後は白紙

    1959年、初期のセシウム原子時計を扱う科学者たち。うるう秒は原子時と天文学的な時刻を同期させるために使われてきた。(PHOTOGRAPH BY NIST, THE NEW YORK TIMES/REDUX) いまは何時? 携帯電話やパソコンを見れば、かなり正確な答えがわかるだろう。時刻は不変のペースで刻まれているように思えるが、実は私たちの時計は何十年もの間、数年ごとに「うるう秒」を挿入して調整されてきた。 これは、原子時計と地球の自転に基づく時計を合わせるためであり、そうして調整された時計が長い間、国際的な時刻の基準になっていた。ところが、科学者たちはうるう秒を廃止することにした。うるう秒の何が問題なのだろうか? 「秒」を定める 「秒」という時間の単位は、24時間の天文学的な1日(地球の1回転)を単純に8万6400分割して作られた。ただ、一つだけ問題があった。地球は毎日同じ速度で自転し

    「うるう秒」とは何か、なぜ廃止が決まったのか? その後は白紙
  • うるう年の最古の記録は2200年前、微妙な違いをどう知ったのか

    紀元前3世紀に記された「カノプス勅令」の複製。エジプト語のヒエログリフ(象形文字)とデモティック(民衆文字)の下に、古代ギリシャ語が併記されている。うるう年に関する世界最古の記録だ。(PHOTOGRAPH BY G. DAGLI ORTI, NPL - DEA PICTURE LIBRARY/ BRIDGEMAN IMAGES) 太陽暦の1年は、正確には365日ではなく、およそ365と4分の1日だ。これを考慮して、暦には4年ごとに1日が追加されている。ではこのうるう年はいつからあったのだろう? エジプトの砂漠での大発見によれば、少なくとも2262年前にはあったようだ。 1866年、ナイル川デルタに存在した古代エジプトの都市タニスを訪れたドイツの学者たちが石碑を発見した。高さ2メートル超、幅1メートル近い石灰岩の厚い板だ。有名なロゼッタ・ストーンと同様、古代エジプト語(象形文字のヒエログリフ

    うるう年の最古の記録は2200年前、微妙な違いをどう知ったのか
  • 南極で色の薄いペンギン発見

    サウス・シェトランド諸島で見つかった色の薄いヒゲペンギン。この個体にみられる症状を、専門家は「イザベリニズム」と呼んでいる。 Photograph courtesy David Stephens, National Geographic Expeditions 南極海のヒゲペンギン(アゴヒモペンギン)のコロニー(集団繁殖地)で1月9日、珍しい遺伝子変異の“色の薄い”ペンギンが発見された。 この“ブロンドの”ペンギンは南極海、サウス・シェトランド諸島のある島の海岸で確認された。見つけたのは、ナショナル ジオグラフィック協会のトラベル部門が募集した「南極への旅」(Journey to Antarctica)クルーズツアーの参加者たち。ツアーを共同で運営しているクルーズ会社リンドブラッド・エクスペディションズのナチュラリスト、デイビッド・スティーブンス氏は、参加者らが「とても驚いた」とブログで報

    南極で色の薄いペンギン発見
  • 【研究室】「研究室」に行ってみた。 行動遺伝学・教育心理学 安藤寿康

    見た目はホントにそっくりな双子。それってつまり遺伝子が100%同じ一卵性双生児なわけだけど、性格や気質も見た目ぐらい同じなの? 違うとしたら、どのぐらい? もっと言うと、個人の形成に遺伝と環境はどんなふうにかかわっているのだろうか――。双子を対象として、遺伝と環境が人間に与える影響を調べる「双生児法」により、これまで7000組以上の双子を調査してきた安藤寿康先生の研究室に行ってみた!(文=川端裕人/写真=的野弘路) 第1回 遺伝か環境か、それがモンダイだ 2012年1月23日

    【研究室】「研究室」に行ってみた。 行動遺伝学・教育心理学 安藤寿康
  • 世界最古の鞍を発見、定説覆す女性所有者に驚き、約2700年前

    中国の洋海(ヤンハイ)墓地から出土したおよそ2700年前の鞍。革を縫い合わせたものに藁や動物の毛が詰められている。精工な作りだが高価なものではなく、地域の牧畜民に日常的に使われていた。(PATRICK WERTMANN) 古ければおよそ2700年前、中国北西部の乾燥地帯で暮らしていたその女性は、まさに馬に乗ろうという装いで、鞍(くら)と一緒に埋葬されていた。獣皮製の外套をまとい、羊毛のズボンと革製の長を履いていた。 中国新疆ウイグル自治区のトルファン市近郊にある洋海(ヤンハイ)墓地で出土したこの鞍は、紀元前700年から紀元前400年ものと推定される。これまで発見された鞍の中では最も古く、誰が何の目的で鞍を使っていたかというこれまでの定説に疑問符が付けられた。(参考記事:「2500年前の墓から完全な大麻草13を発見」) 発見は「驚き」だったと、スイス、チューリッヒ大学の研究者で、学術誌「

    世界最古の鞍を発見、定説覆す女性所有者に驚き、約2700年前
  • 思わずワクワクする考古学の発見2023年版、古代のミイラ工房他

    2023年5月、エジプト、ギザのサッカラで古代エジプトのミイラ工房が発見されたと当局が発表した。石造りの寝台やミイラ作りの道具など新たに発見された遺物は、プトレマイオス朝と第30王朝のものだ。(PHOTOGRAPH BY FAREED KOTB, ANADOLU AGENCY/ GETTY IMAGES) 2023年は、考古学界にとって実りの多い年だった。私たちは、AIなどの技術が大発見につながる事例を目の当たりにし、科学者たちは過去に発掘された遺物に新たな光を当てることができた。 また、今年は考古学上の新たな発見が続いた1年でもあった。たとえば、エジプトのミイラ工房では、古代の埋葬技術の秘密が明らかになった。イタリアの海底に沈む2000年前の神殿は、アラビアの砂漠から来た貿易商人たちが建てたことがわかった。そして、ジャングルの奥深くに眠っていた壮大なマヤ文明の都市が、レーザー技術によって

    思わずワクワクする考古学の発見2023年版、古代のミイラ工房他
  • 2023年の驚くべき科学的発見11、人類の知はこれだけ広がった

    科学者たちは今年、気が遠くなるほど波長の長い重力波の検出に初めて成功した。この重力波は、イラストのようにお互いのまわりを回るブラックホールどうしが衝突・合体した後に生じた可能性が高い。(ILLUSTRATION BY MARK GARLICK, SCIENCE PHOTO LIBRARY) 今年もまた、科学にとってすばらしい年となった。人類の科学研究の最新の成果はどれも興味深く、私たちに新たな謎を投げかけている。『ナショナル ジオグラフィック』が選ぶ、2023年で最も魅力的な大発見の数々をご紹介しよう。 1. 時空を伝わる巨大なさざ波を検出 天文学者たちは初めて、気が遠くなるほど波長の長い重力波を検出した。これらの“宇宙のさざ波”は、数十億光年の彼方で相互に作用し、合体する超大質量ブラックホールからの遠いこだまである可能性が高い。研究者たちは、パルサー(パルス状の電波を発しながら高速回転し

    2023年の驚くべき科学的発見11、人類の知はこれだけ広がった
  • 「霊と話せる」スピリチュアリズム、100年前の熱狂とその結末

    マギーとケイトのフォックス姉妹は、米ニューヨーク州郊外の一軒家に住んでいた。この家には殺された行商人の霊がとりついているといううわさがあった。1848年からフォックス姉妹は交霊会を開くようになり、ラップ音を使って死者の霊と交流できると主張した。姉妹は各地で揺るぎない名声を確立したが、1888年、マギーは交霊会がでっち上げだったことを告白した。(AKG/ALBUM) 亡くなった人と話したいという願いは、人類の歴史と同じぐらい古くから存在していたようだ。メソポタミアからギリシャ、中国文明に至るまで、古代の宇宙論では死者の霊が重要な役割を果たしていた。しかし、聖書の記述をはじめとしてユダヤ教でもキリスト教でも故人の助言を求めることは伝統的に禁止され、千年もの間、霊との交流は有罪で死刑にも値する罪とされていた。(参考記事:「魔女の魔術に呪文詠唱…米国で人気急上昇の「ペイガニズム」とは」) ところが

    「霊と話せる」スピリチュアリズム、100年前の熱狂とその結末
  • アーサー王の師「マーリン」はもとは詩人だった、なぜ魔術師に?

    マーリンがアーサーを見せる 好色なユーサー王が貴族のを誘惑する際に魔法で助けた見返りに、マーリンはユーサーの息子アーサーを誕生時に渡すよう王に求める。エミール・ヨハン・ラウファーが描いたこの油絵では、マーリンが馬の上でアーサーを抱いている。(FINE ART/ALBUM) 魔法の力をもち、時には長い白ひげをたくわえた賢い老人は、魔法使いの典型的な姿だ。このような神秘的な男性は、シェイクスピアの『テンペスト』から『オズの魔法使い』『指輪物語』、そして『ハリー・ポッター』シリーズまで、多くの文学作品に登場する。 しかし、なぜこういう姿が定番になったのだろうか? それは、アーサー王伝説の中心人物であり、最も魅力的な人物の一人「マーリン」のせいだ。中世文学に初めて登場して以来、マーリンは何世紀にもわたって進化し続け、ウェールズの詩人から変幻自在の魔法使いへと変貌を遂げたのだ。 森に逃げ込んだ詩人

    アーサー王の師「マーリン」はもとは詩人だった、なぜ魔術師に?